東北大学 理学研究科 物理学専攻 2018年8月実施 問題4(量子力学)
Author
Miyake
Description
問題の要約(日本語)
題意の要約。出典:東北大学公式サイトの保存版。
[1] 無限深井戸(原問題「量-1/3」)
質量 m の粒子を 0<x<L に閉じ込める。この区間では V(x)=0、外では V(x)=∞ であり、H=−ℏ2d2/(2mdx2)+V(x)、ℏ=h/(2π) とする。井戸内のエネルギー固有関数は Asinkx+Bcoskx(k>0)と表せる。
- 正整数 n を用いて規格化された固有関数 ψn(x) と固有エネルギー En を求める。
- 第二励起状態 n=3 の井戸内の確率密度を図示し、最大値・最小値とそれらを取る位置を示す。
- 井戸内で φ(x)=Csin3(πx/L)、外では0となる状態を考える。これを n=1,3 の重ね合わせで表し、規格化定数と各状態の確率を求める。三倍角公式と異なる固有状態の直交性を用いてよい。
- φ におけるエネルギーの期待値を求める。
[2] 同種のスピン 1/2 フェルミ粒子2個(原問題「量-2/3、量-3/3」)
重心運動を除き、相対座標を r=r1−r2=(x,y,z)、換算質量を μ とする。ω>0 とし、波動関数とハミルトニアンを
Ψ=ψ(r)Φspin,H=−2μℏ2∇2+21μω2r2
とする。1粒子の sz 固有状態は ∣↑⟩,∣↓⟩ であり、三重項状態は ∣11⟩=∣↑↑⟩、∣10⟩=(∣↑↓⟩+∣↓↑⟩)/2、∣1 −1⟩=∣↓↓⟩ である。
- 一重項状態 ∣00⟩ を表す。
- 1次元調和振動子の規格化された関数
ϕ0(x)=(πℏμω)1/4e−μωx2/(2ℏ),ϕ1(x)=ℏ2μωxϕ0(x)
を使い、3次元の基底状態と第一励起状態の空間波動関数をすべて求める。
- 上の空間波動関数が反転 r↦−r によってどう変わるか答える。
- 同種フェルミ粒子の交換反対称性を考慮し、基底状態の空間部分とスピン部分を理由とともに示す。
- 第一励起状態の縮退度を理由とともに求める。
- 基底状態に ΔV=−g(r⋅s1)(r⋅s2)(g は定数)を加える。a) (r⋅s)∣↑⟩ を上下スピン状態の線形結合で示す。s=ℏσ/2 を用いてよい。b) 一次摂動によるエネルギー変化を求める。積分公式 ∫0∞r2ne−αr2dr=(2n−1)!!π/(2n+1αn+1/2)(α>0)を用いてよい。
题目描述
【一维无限深势阱】
质量为 m 的粒子被限制在 0<x<L 内,阱内势能为零,阱外为无穷大,Hamiltonian 与常数定义见上方日文题目。
- 由阱内形式 Asinkx+Bcoskx 求归一化本征函数 ψn 及能量 En。
- 对第二激发态 n=3,画出概率密度,标出最大、最小值及相应位置。
- 对阱内为 Csin3(πx/L)、阱外为零的状态,写成 n=1,3 两态的叠加,求归一化常数和各态的概率。可使用三倍角公式及正交性。
- 求该状态的能量期望。
【两个相同的自旋 1/2 费米粒子】
去除质心运动,取相对坐标 r=r1−r2 和约化质量 μ,空间部分为三维各向同性谐振子,角频率 ω>0。总波函数为 Ψ=ψ(r)Φspin,自旋三重态及一维谐振子的 ϕ0,ϕ1 如上方公式。
- 写出自旋单重态 ∣00⟩。
- 用 ϕ0,ϕ1 写出三维基态和全部第一激发态的空间波函数。
- 判断这些空间态在 r↦−r 下的变化。
- 利用费米粒子交换反对称性,确定基态的空间和自旋部分,并说明理由。
- 求第一激发能级的简并度,并说明理由。
- 加入微扰 ΔV=−g(r⋅s1)(r⋅s2)。先用上下自旋态表示 (r⋅s)∣↑⟩,再求基态的一阶能量修正。可使用 s=ℏσ/2 以及题给的 Gaussian 积分公式。
Kai
[1]
ψ(0)=0 であるから、
ψ(0)=B=0
よって、
ψ(x)=Asinkx
また、 ψ(L)=0 であるから、
ψ(L)=AsinkL=0
よって、 k は、正の整数 n を使って、
knL=πn, ∴ kn=Lπn
と書かれる。
よって、固有状態の波動関数は、
ψn(x)=Asinknx=AsinLnπx
である。
波動関数の規格化条件から A を求める:
1=∫0L∣ψn(x)∣2dx=∣A∣2∫0Lsin2knxdx=∣A∣2∫0L21−cos2knxdx=2∣A∣2[x−2kn1sin2knx]0L=2∣A∣2L
よって、 A=2/L とすればよく、
ψn(x)=L2sinknx=L2sinLnπx
を得る。
最後に、エネルギー固有値 En を求めるため、次のように計算する:
−2mℏ2dx2d2ψn(x)=−2mℏ2dx2d2AsinLnπx=2mL2ℏ2π2n2AsinLnπx=2mL2ℏ2π2n2ψn(x)
よって、
En=2mL2ℏ2π2n2
を得る。
ψ3(x)∣ψ3(x)∣2=L2sinL3πx=L2sin2L3πx
最大値は 2/L で、x=L/6,L/2,5L/6 において取る。最小値は0で、区間内では x=L/3,2L/3 において取る(境界 x=0,L でも0)。

φ(x)=Csin3Lπx=C(43sinLπx−41sinL3πx)=4C2L(3ψ1(x)−ψ3(x))
したがって、
φ(x) は ψ1(x) と ψ3(x) の重ね合わせで表された。
次に、 φ(x) の規格化条件から C を求める:
1=∫0L∣φ(x)∣2dx=32∣C∣2L∫0L(9ψ12(x)−6ψ1(x)ψ3(x)+ψ32(x))dx=32∣C∣2L⋅10=165L∣C∣2
よって、 C=4/5L とすればよく、
φ(x)=101(3ψ1(x)−ψ3(x))
を得る。
最後に、 ψ1(x),ψ3(x) に存在する確率は、それぞれ、
(103)2=109, (10−1)2=101
である。
φ(x) におけるエネルギー期待値は、次のように計算できる:
∫0Lφ∗(x)Hφ(x)dx=101∫0L{3ψ1(x)−ψ3(x)}H{3ψ1(x)−ψ3(x)}dx=101∫0L{3ψ1(x)−ψ3(x)}{3E1ψ1(x)−E3ψ3(x)}dx=101(9E1+E3)=1012mL2ℏ2π2⋅18=10mL29ℏ2π2
[2]
∣00⟩=21[∣↑⟩∣↓⟩−∣↓⟩∣↑⟩]
固有値方程式
Hψ(r)=(−2μℏ2∇2+21μω2r2)ψ(r)=Eψ(r)
に ψ(r)=X(x)Y(y)Z(z) を代入して整理すると、
(−2μℏ2X(x)X′′(x)+21μω2x2)+(−2μℏ2Y(y)Y′′(y)+21μω2y2)+(−2μℏ2Z(z)Z′′(z)+21μω2z2)=E
となるので、 x,y,z 成分がそれぞれ独立に
質量 μ , 角振動数 ω の
1次元調和振動子とみなせることがわかる。
したがって、このハミルトニアン H
の基底状態の空間部分の波動関数は
ψ000(r)=ϕ0(x)ϕ0(y)ϕ0(z)
であり、第1励起状態の空間部分の波動関数は
ψ100(r)ψ010(r)ψ001(r)=ϕ1(x)ϕ0(y)ϕ0(z)=ϕ0(x)ϕ1(y)ϕ0(z)=ϕ0(x)ϕ0(y)ϕ1(z)
である。
ϕ0(−x)=ϕ0(x), ϕ1(−x)=−ϕ1(x) であるから、
ψ000(−r)ψ100(−r)ψ010(−r)ψ001(−r)=ψ000(r)=−ψ100(r)=−ψ010(r)=−ψ001(r)
である。
考えている2粒子は同種フェルミ粒子であるから、
粒子の入れ替えに対して波動関数の符号が変わる。
基底状態の波動関数の空間部分は ψ000(r) で
符号が変わらないので、
これと組み合わせられるスピン部分は、
∣00⟩ である。
つまり、基底状態の波動関数は、
ψ000(r)∣00⟩=ϕ0(x)ϕ0(y)ϕ0(z)∣00⟩
である。
第1励起状態の波動関数の空間部分は
ψ100(r),ψ010(r),ψ001(r)
であり、
これと組み合わせられるスピン部分は
∣11⟩,∣10⟩,∣1 −1⟩
である。
これらのすべての組み合わせが第1励起状態なので、
縮退度は 3×3=9 である。
(r⋅s)∣↑⟩=(xsx+ysy+zsz)∣↑⟩=2ℏ{x(0110)+y(0i−i0)+z(100−1)}(10)=2ℏ(zx+iyx−iy−z)(10)=2ℏ(zx+iy)=2ℏ{z∣↑⟩+(x+iy)∣↓⟩}
a) と同様にして、
(r⋅s)∣↓⟩=2ℏ{(x−iy)∣↑⟩−z∣↓⟩}
である。
よって、
ΔV∣00⟩∴ ⟨00∣ΔV∣00⟩=−2g(r⋅s1)(r⋅s2)(∣↑⟩∣↓⟩−∣↓⟩∣↑⟩)=−2g4ℏ2[{z∣↑⟩+(x+iy)∣↓⟩}{(x−iy)∣↑⟩−z∣↓⟩}−{(x−iy)∣↑⟩−z∣↓⟩}{z∣↑⟩+(x+iy)∣↓⟩}]=4gℏ2(x2+y2+z2)∣00⟩=4gℏ2(x2+y2+z2)
よって、求めるエネルギー変化は、
∭ψ000(r)⟨00∣ΔV∣00⟩ψ000(r)dxdydz=4gℏ2∭(x2+y2+z2)ϕ02(x)ϕ02(y)ϕ02(z)dxdydz=4gℏ2(πℏμω)6/4∫0∞r2e−ℏμωr2⋅4πr2dr=πgℏ2(πℏμω)3/2∫0∞r4e−ℏμωr2dr=πgℏ2(πℏμω)3/2233!!π(μωℏ)5=83μωgℏ3
である。