大阪大学 経済学研究科 経営学系専攻 2023年8月実施 夏季入試 経営組織・戦略(2)
Author
祭音Myyura (co-authored with GPT 6 Astra)
Description
以下の設問に答えなさい(英語による解答も可とする)。
設問Ⅰ
組織的公正研究において、近年相互作用的公正に注目が集まるようになった。相互作用的公正とはどのような概念なのかを簡潔に説明しなさい。また、相互作用的公正がなぜ注目を集めるようになったのかに関するあなた自身の考えを論理的に説明しなさい。(20点)
設問Ⅱ
目標設定理論とはどのような理論なのかを簡潔に説明しなさい。また、Atkinsonによる達成動機づけ理論およびVroomらによる期待理論と目標設定理論との相違について論理的に説明しなさい。(30点)
設問Ⅲ
近年エンゲージメントという言葉がよく聞かれるようになった。経営学におけるワーク・エンゲージメントとはどのような概念なのかを簡潔に説明しなさい。また、ワーク・エンゲージメントを高めることはどのような実務的意義を持っているのかを論理的に説明しなさい。(20点)
設問Ⅳ
組織変革のプロセスについて、Lewinのモデルに従って、説明しなさい。また、変革のエージェントは特にどのプロセスで重要な役割を果たすのかを指摘し、どのような行動をとるべきかについて具体的に説明しなさい。(30点)
题目描述
回答以下设问(也可使用英语作答)。
设问Ⅰ
近年来,组织公平研究逐渐关注互动公平。请简要说明互动公平的概念,并有逻辑地阐述你对它为何受到关注的看法。(20分)
设问Ⅱ
请简要说明目标设定理论,并有逻辑地解释Atkinson的成就动机理论、Vroom等人的期望理论分别与目标设定理论有何不同。(30分)
设问Ⅲ
近年来,人们经常听到“engagement”一词。请简要说明经营学中工作投入(work engagement)的概念,并有逻辑地解释提高工作投入具有怎样的实践意义。(20分)
设问Ⅳ
请按照Lewin的模型说明组织变革的过程。此外,请指出变革推动者在哪个阶段尤其发挥重要作用,并具体说明他们应采取怎样的行动。(30分)
Kai
設問Ⅰ
相互作用的公正とは、組織の決定が伝えられたり実行されたりするときに、人が受ける対人的な扱いの公正さである。相手を尊重して礼儀正しく接することに加え、決定の理由を正直かつ十分に説明することを含む。例えば、人事評価が同じでも、上司が一方的に告げる場合と、本人の尊厳を守って評価の根拠を説明する場合とでは、受け止め方が異なる。
私は、制度や報酬の公平さだけでは、従業員の納得や協力を得られないことが広く認識されるようになったためだと考える。職場の価値観や働き方が多様化すると、上司と部下が暗黙に共有していた前提も一致しにくくなる。そこで、個人を尊重し、判断の理由を分かる言葉で伝えることが重要になる。
また、組織変革や厳しい人事評価では、全員が望む結果を与えることは難しい。それでも、説明を尽くし、質問に誠実に答えれば、従業員は自分が組織の一員として尊重されていると感じやすい。反対に、侮辱的な言動や説明の欠如は、上司への不信や協力の低下につながる。相互作用的公正は、日々の接し方を通じて信頼を築くために重要なのである。
設問Ⅱ
目標設定理論は、具体的で困難な目標が、容易な目標や「できるだけ頑張る」という曖昧な指示よりも高い成果を生むとする理論である。目標は注意を必要な活動へ向け、努力の量や持続性を高め、仕事の進め方の工夫を促す。本人が目標を受け入れ、必要な能力を持ち、進み具合を確認できることが重要である。
Atkinsonの達成動機づけ理論は、成功したいという動機と失敗を避けたいという動機から、課題の選択や努力を説明する。成功への動機が失敗回避の動機より強い人は、成功の見込みと成功したときの達成感が釣り合う、中程度に難しい課題に最も強く動機づけられる。逆に、失敗回避の動機が上回る人は、非常に容易な課題や、失敗しても仕方がないほど難しい課題を選びやすい。課題の難度と動機の個人差を重視する点で、意識的に設定された目標の水準が努力を高める過程を扱う目標設定理論と異なる。
Vroomらの期待理論は、努力が成果につながるという期待、成果が報酬につながるという道具性、報酬の魅力である誘意性によって動機づけを説明する。他の条件が同じなら、期待が高いほど努力する動機は強まる。
期待が高いほど動機づけが強まるという考え方は、困難な目標が努力を引き出すという目標設定理論と一見矛盾する。しかし、同じ目標に取り組む人を比べれば、達成できるという期待の高い人ほど努力しやすい。一方、目標水準の異なる条件を比べれば、受け入れた目標を高くすることで、より多くの努力が引き出される。このように、期待理論が努力の結果に対する見込みと価値を重視するのに対し、目標設定理論は目指す水準そのものが行動を方向づける働きに注目する。
設問Ⅲ
ワーク・エンゲージメントとは、仕事に対する前向きで充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭の三つからなる。活力は、仕事にエネルギーを注ぎ、困難があっても粘り強く取り組むことである。熱意は、仕事に意味や誇りを感じることであり、没頭は、時間を忘れるほど仕事に集中することである。その場限りの気分というより、日々の仕事への継続的な関わりを表す。
これを高める実務的意義は、従業員の充実感と企業の成果を結びつけられる点にある。仕事に活力や意味を感じる人は、指示された作業をこなすだけでなく、自ら工夫し、問題の解決にも粘り強く取り組む。そのため、仕事の質や生産性の向上が期待できる。また、前向きに働ける職場は、人材の定着にもつながる。
例えば、顧客対応をする従業員に一定の裁量を与え、上司が相談に応じ、対応の成果を本人に伝えれば、自分の判断が顧客の役に立ったと実感しやすくなる。こうした経験は仕事への熱意を高め、さらに良い対応を考える動機となる。企業にとって、裁量、周囲の支援、成長の機会を整えることは、従業員がいきいきと働きながら力を発揮できる職場づくりにつながる。
設問Ⅳ
レヴィンのモデルでは、組織変革を解凍、変革、再凍結の三段階で捉える。解凍は、現在のやり方を当然とする考えや慣行を見直し、変化を受け入れる準備をする段階である。変革では、新しい知識や行動様式を学び、試行錯誤を通して仕事の進め方を変える。再凍結では、新しい行動を職場のルールや評価制度、周囲の協力によって支え、日常の仕事として定着させる。
変革エージェントは、この過程を促す管理者や専門家などであり、特に解凍の段階で重要な役割を果たす。組織には、慣れた方法を続けたいという気持ちや、新しい方法に適応できるかという不安がある。制度の変更を命じるだけでは、こうした抵抗は解消されない。そこで、現状の問題を具体的な事実で示し、変革の必要性を共有するとともに、従業員の不安を聞き、安心して学べる条件を整える必要がある。
例えば、紙の伝票処理を電子化する場合、入力の重複や処理の遅れを示し、導入によって何が改善されるかを説明する。その上で、現場の担当者を手順の検討に参加させ、練習の時間と相談先を用意する。変革の段階では一部の部署で試し、使いにくい点を直してから広げる。再凍結の段階では、新しい手順を標準化し、管理者自身もそれに従う。変革エージェントは、このように現場の納得と実行を支え、新しい方法が続く状態をつくる。
Reference
- 大阪大学大学院経済学研究科 2024年度博士前期課程・夏季入試問題(PDF第1・2・20頁)
- 大阪大学大学院経済学研究科 2024年度博士前期課程募集要項(PDF第11頁)
- Colquitt, J. A. (2001), “On the Dimensionality of Organizational Justice: A Construct Validation of a Measure”
- Locke, E. A. & Latham, G. P. (2002), “Building a Practically Useful Theory of Goal Setting and Task Motivation: A 35-Year Odyssey”
- Atkinson, J. W. (1957), “Motivational Determinants of Risk-Taking Behavior”
- Schaufeli, W. B. & Salanova, M. (2007), “Work Engagement: An Emerging Psychological Concept and Its Implications for Organizations”
- Schein, E. H. (1995), “Kurt Lewin's Change Theory in the Field and in the Classroom: Notes Toward a Model of Managed Learning” (MIT Working Paper 3821)