名古屋大学 多元数理科学研究科 2021年2月実施 2日目 [3]
Author
江澤 樹
Description
以下の問に答えよ.
(1) の開集合 上の実数値関数 が 級で偏導関数 が 上で恒等的に零であるとする.
が条件
をみたすならば, は定数関数であることを示せ.
(2) 位相空間 上の実数値関数 が局所定数関数であるとは, 任意の に対して, を含む開集合 が存在して, が 上で定数であることとする. が連結ならば, 上の局所定数関数は 上の定数関数であることを示せ.
Kai
(1) は Euclid 空間上の微分形式の線積分を勉強したときのことを思い出した.
(1)
任意の を固定し, から への 級曲線 をとる.
仮定より が 級であるから も 級で, 微分積分学の基本定理, 合成関数の微分公式および問題文の条件から
と計算できる. ここで, である. 以上により は定数関数である (坪井俊, 幾何学 III, 東京大学出版会.).
(2)
点部分集合の逆像 は の開集合である.
実際, とすれば であるから を含む開集合 が存在して, が 上で定数 である.
このとき ゆえ であるからやはり は の開集合である.
さて, ならば である.
であるから が 元以上含めば が連結であることに反する.