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名古屋大学 多元数理科学研究科 2021年2月実施 1日目 [3]

Author

江澤 樹

Description

広義積分

を考える.以下の問に答えよ.

(1) 複素関数 の上半平面 内の極とそこでの留数を求めよ.

(2) 留数定理を用いて の値を求めよ.

Kai

(1)

とおくと, である. 方程式 の解を求めるため とおき, であることに注意すると

とできる. 最後の式は について周期 であるので, 連続する 個取ればすべてのものをつくす. よって の零点

つまり

である(復号任意). これらの位数はみな であり, 全体で正則で, であるから, これらは 位の極であり,

である. 以上により極 のうちで上半平面にあるものは

でありそこでの留数は

である (復号同順).

(2)

, であることに注意する. に対して, 実軸上の線分 と上半円 からなる閉曲線に反時計回りの向きを入れた積分経路を とおく. この閉曲線 を図示すると

となり, 留数定理 と (1) の結果より

である. ここで, のとき が成り立ち, の長さは であるから

である. よって

となることによる (梶原壌二, 関数論入門, 森北出版株式会社. p.82 問題 3.5).