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名古屋大学 多元数理科学研究科 2021年2月実施 1日目 [2]

Author

江澤 樹

Description

以下の問に答えよ.

(1) 広義積分 が収束することを示せ.

(2) 上で定義された 変数関数 の極値をすべて求めよ.

(3) とする.次の積分値を求めよ.

Kai

(2) において Hessian が になるときは極値をとっていないと予想し, の近傍での挙動をを観察した. (3) は被積分関数に という式があったため極座標変換を行った.

(1)

部分積分により任意の二つの正実数 に対して

が得られる. よって, 与えられた正実数 に対し より大きくとれば, を満たす任意の二つの実数 に対して

が成り立つことがわかる. このように Cauchy の判定法の条件を満たすことが確かめられたため, この広義積分は収束する.

(2)

関数 の偏導関数は

であり,

なので停留点は

である(複号同順). 次にこの3つの点での Hessian を計算しよう. Hesse 行列は

より

であり, Hessian からは何もわからない. しかし

であるから で極値をとらない.

ゆえ で極大値をとる(複号同順). 以上を表にまとめて

停留点Hessian極値か?
20極値をとらない
極大値
極大値

から の極値は極大値 のみである(複号同順).

(3)

とおく. 図示すると次のようになる:

極座標変換 により に対応し, このときの Jacobian は である. よって

と求まる.