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名古屋大学 情報学研究科 情報システム学専攻 2024年8月実施 専門 問4

Author

祭音Myyura

Description

頂点の集合が 、辺の集合が の無向グラフを と表記する。 頂点 を端点とする辺は として表す。 この問題では,ループや多重辺を持たない単純グラフのみを考え,グラフに関する用語を以下のように定義する。

  • 完全グラフ:異なる任意の頂点の組 に対し,辺 が存在する。
  • 正則グラフ の全ての頂点が同一の次数を持つ。頂点の次数とは,その頂点を端点に持つ辺の本数である。
  • 補グラフ であり,異なる頂点の組 に対し, のとき,かつそのときのみ
  • グラフ 同型:次の性質を満たす全単射 が存在する; のとき,かつそのときのみ

(1) 頂点数 の完全グラフを示せ。

(2) 頂点数 の完全グラフが持つ辺の本数を答えよ。

(3) 図 1 で与えられるグラフの補グラフを示せ。解答のグラフには頂点名を記すこと。

(4) 図 2 の から に示す 4 つのグラフのそれぞれについて,図 1 のグラフと同型であるかどうかを答え,同型の場合は頂点間の全単射を示し,同型でない場合は,同型でないと判断する理由を述べよ。

(5) グラフ が与えられ、頂点数が です。ここで、グラフ の補グラフが 自身と同型である場合、 の頂点数 または の形で表されることを示す。ここで、 は非負整数です。

(6) 問題 (5) を踏まえて、グラフ が正則グラフ(すべての頂点の次数が同じ)であれば、頂点数 は必ず の形で表される。

Kai

(1)

graph LR
v1 --- v2
v1 --- v3
v1 --- v4
v1 --- v5
v2 --- v3
v2 --- v4
v2 --- v5
v3 --- v4
v3 --- v5
v4 --- v5

(2)

頂点数 の完全グラフでは,異なる 頂点の組の数だけ辺がある。 これは組合せの数 に等しいので,辺の本数は

である。

(3)

図 1 のグラフの頂点はであり,図から読み取れる辺は

本である。

補グラフ

となる。

(4)

まず,図 1 のグラフ の各頂点の次数を調べる:

  • と接続)
  • と接続)
  • と接続)
  • と接続)
  • のみと接続)

したがって次数列(次数の多重集合)は である。

以下,各図との比較を行う。


図 2 (a) について、次の全単射 を考えると、図 2 (a) のグラフは図 1 のグラフと同型であることが分かる。

図 2 (b) についての次数を調べると,

となり,次数列は である。

図 1 の次数列は であり,一致しない。 次数列はグラフ同型では不変なので, のグラフは図 1 のグラフと同型ではない

図 2 (c) についての次数を調べると,

であり,次数列は となる。 これも図 1 の次数列 と一致しないため, (c) のグラフも図 1 のグラフと同型ではない

図 2 (d) について、次の全単射

をとると,図 2 (d) のグラフは図 1 のグラフと同型であることが分かる。

(5)

グラフ の辺の数は 、補グラフ の辺の数は とおくと、任意の2つの頂点の組み合わせ に辺が存在するので、次の関係が成立する。

が同型であることから、 が得られるので、

は整数でなければならないため、 または として表されることがわかる。

(6)

グラフ が正則で、グラフ も正則グラフである。グラフ のすべての頂点の次数が とおくと、

が得られる。 は整数でなければならないため、 (奇数)として表される。(5) の結論により、 として表されることがわかる。