名古屋大学 情報学研究科 複雑系科学専攻 2021年8月実施 数1
Author
祭音Myyura
Description
以下の各問に答えよ。ただし,iは虚数単位とする。
[1]
ω=(−1+3i)/2 とするとき,以下の行列のべき乗 A2,A3,A4 を求めよ。
A=1111ωω21ω2ω
[2]
平面上の座標系 (x,y) と (x′,y′) の変換 x=Ax′+x0 を考える。ただし,
x=(xy),A=(−4235),x′=(x′y′),x0=(2−1)
とする。このとき,(x,y) 平面上の直線 x+y+1=0 の,(x′,y′) 平面上での式を求めよ。
[3]
A を直交行列とする。
- 任意の実ベクトル a,b に対して,A による直交変換が内積 a⋅b を不変に保つこと,すなわち (Aa)⋅(Ab)=a⋅b であることを示せ。
- A の固有値の絶対値が1であることを示せ。
- 以下 A は 2×2 行列とする。A の列ベクトル表示を A=(a1,a2) とすると,a1 および a2 のユークリッドノルムが1になること,および a1 と a2 が直交することを示せ。
-
- の結果から a1=(cosθsinθ)(0≤θ<2π) と書けることを用いて,detA=1 の場合に a2 を求めよ。
- detA=−1 の場合には,A が
A=(cosθsinθsinθ−cosθ)
と表される。このとき,任意の2次元実ベクトル v に対して,Av は原点を通るある直線を対称軸として線対称の関係になる。その直線の式を示せ。
Kai
[1]
ω=(−1+3i)/2 より、
- (1,1):1⋅1+1⋅1+1⋅1=3
- (1,2):1+ω+ω2=0
- (1,3):1+ω2+ω=0
- (2,1):1+ω+ω2=0
- (2,2):1+ω2+ω4=1+ω2+ω=0
- (2,3):1+ω3+ω3=1+1+1=3
- (3,1):1+ω2+ω=0
- (3,2):1+ω3+ω3=1+1+1=3
- (3,3):1+ω4+ω2=1+ω+ω2=0
従って、
A2A3A4=300003030=31000010101111ωω21ω2ω=31111ω2ω1ωω2=31111ω2ω1ωω21111ωω21ω2ω=9100010001
[2]
x+y+1=0 に
(xy)=Ax′+x0=(−4x′+3y′+22x′+5y′−1)
を代入して整理すると、
(−4x′+3y′+2)+(2x′+5y′−1)+1=0
−2x′+8y′+2=0
x′−4y′−1=0
を得る。
[3]
行列 X やベクトル x の転置をそれぞれ XT,xT で表す。
内積 x⋅y は xTy とも書ける。
また、単位行列を I で表す。
さらに、行列 X やベクトル x の複素転置(エルミート共役)をそれぞれ
X†,x† で表す。
X が実行列の場合は、 X†=XT である。
(Aa)⋅(Ab)=(Aa)T(Ab)=(aTAT)Ab=aT(ATA)b
A が直交行列であり ATA=I が成り立つことから
=aTIb=aTb=a⋅b
A の固有値を λ とし、対応する規格化された固有ベクトルを v とする
∥Av∥2=(Av)∗T(Av)=v∗TATAv=v∗TIv=∥v∥2
一方で、
∥Av∥2=∥λv∥2=∣λ∣2∥v∥2
となるので、 ∣λ∣2∥v∥2=∥v∥2 がわかる。従って、∣λ∣=1。
I=ATA=(a1Ta2T)(a1,a2)=(a1Ta1a2Ta1a1Ta2a2Ta2)
- a1Ta1=1⟹∥a1∥2=1⟹∥a1∥=1
- a2Ta2=1⟹∥a2∥2=1⟹∥a2∥=1
- a1Ta2=0⟹a1⋅a2=0
a2=(−sinθcosθ)
(cosθsinθsinθ−cosθ)(10)(cosθsinθsinθ−cosθ)(01)=(cosθsinθ),=(sinθ−cosθ)
であるから、求める直線は、原点を通り、
(cos2θsin2θ)
を方向ベクトルとするような直線である。
ベクトルの第1成分をx、第2成分をyで表すと、その直線の方程式は、
−sin2θx+cos2θy=0
である。