名古屋大学 情報学研究科 複雑系科学専攻 2017年8月実施 微分方程
Author
思齐塾, 祭音Myyura
Description
実数値関数 u(x,t) の偏導関数を ut=∂t∂u,ux=∂x∂u,uxx=∂x2∂2u と書く。変数 x は 0≤x≤L の範囲の値をとる。 u(x,t) は境界条件付きの偏微分方程式
ut(x,t)=uxx(x,t),ux(0,t)=ux(L,t)=0
を満たすとする。以下の小問に答えよ。
- 次式で定められる関数 Q(t) は dtdQ=0 を満たすことを証明せよ。
Q(t)=∫0Lu(x,t)dx
- 次式で定められる関数 V(t) は dtdV≤0 を満たすことを証明せよ。
V(t)=21∫0L{ux(x,t)}2dx
- m,n を正の整数または 0 とすると、次式が成立することを証明せよ。
∫0Lcos(Lmπx)cos(Lnπx)dx=⎩⎨⎧L21L0(m=n=0 の場合)(m=n=0 の場合)(m=n の場合)
- n=0,1,2,⋯ に対して vn(t) は変数 t の微分可能関数とする。次式の関数 u(x,t) が境界条件 ux(0,t)=ux(L,t)=0 を満たしていることを示せ。
u(x,t)=n=0∑∞vn(t)cos(Lnπx)
-
初期条件 u(x,0)=f(x) が与えられたとして n=0,1,2,⋯ について vn(0) を求めよ。
-
関数 vn(t) が満たすべき微分方程式を ut=uxx から導け。また、その微分方程式の一般解を求めよ。
题目描述
对实值函数 u(x,t),记
ut=∂t∂u,ux=∂x∂u,uxx=∂x2∂2u.
变量 x 的范围为 0≤x≤L。设 u(x,t) 满足带 Neumann 边界条件的偏微分方程
ut(x,t)=uxx(x,t),ux(0,t)=ux(L,t)=0.
-
对
Q(t)=∫0Lu(x,t)dx,
证明 dtdQ=0;
-
对
V(t)=21∫0L{ux(x,t)}2dx,
证明 dtdV≤0;
-
设 m,n 为正整数或 0,证明
∫0Lcos(Lmπx)cos(Lnπx)dx=⎩⎨⎧L,21L,0,m=n=0,m=n=0,m=n;
-
对 n=0,1,2,…,设 vn(t) 是关于 t 的可微函数。证明
u(x,t)=n=0∑∞vn(t)cos(Lnπx)
满足边界条件 ux(0,t)=ux(L,t)=0;
-
给定初始条件 u(x,0)=f(x),对每个 n=0,1,2,… 求 vn(0);
-
从 ut=uxx 导出 vn(t) 应满足的微分方程,并求该方程的通解。
Kai
- 関数 Q(t) を t で微分します。積分の下の微分(ライプニッツの法則)を用いると、
dtdQ=dtd∫0Lu(x,t)dx=∫0L∂t∂u(x,t)dx=∫0Lut(x,t)dx
与えられた偏微分方程式 ut=uxx を代入すると、
dtdQ=∫0Luxx(x,t)dx
これを x について積分すると、
dtdQ=[ux(x,t)]0L=ux(L,t)−ux(0,t)
境界条件 ux(0,t)=0 と ux(L,t)=0 を用いると、
dtdQ=0−0=0
よって、 dtdQ=0 が証明されました。
- 関数 V(t) を t で微分します。
dtdV=dtd(21∫0L{ux(x,t)}2dx)=21∫0L∂t∂{ux(x,t)}2dx
連鎖律(合成関数の微分法)を用いると、 ∂t∂{ux}2=2ux∂t∂(ux)=2uxuxt となるので、
dtdV=21∫0L2uxuxtdx=∫0Lux(ut)xdx
ここで部分積分を行います( ∫fg′=[fg]−∫f′g )。 f=ux , g′=(ut)x とおくと、 f′=uxx , g=ut となるので、
∫0Lux(ut)xdx=[uxut]0L−∫0Luxxutdx
境界条件 ux(0,t)=ux(L,t)=0 より、第一項は 0 になります。
[uxut]0L=ux(L,t)ut(L,t)−ux(0,t)ut(0,t)=0⋅ut(L,t)−0⋅ut(0,t)=0
したがって、
dtdV=−∫0Luxxutdx
偏微分方程式 ut=uxx を代入すると、
dtdV=−∫0Luxxuxxdx=−∫0L{uxx(x,t)}2dx
被積分関数 {uxx(x,t)}2 は常に非負であるため、その積分も非負です。( ∫0L{uxx(x,t)}2dx≥0 )
ゆえに、
dtdV≤0
が証明されました。
- 三角関数の積和公式 cosAcosB=21(cos(A−B)+cos(A+B)) を用いて積分を計算します。
∫0Lcos(Lmπx)cos(Lnπx)dx=21∫0L{cos(L(m−n)πx)+cos(L(m+n)πx)}dx
(i) m=n の場合:
m−n と m+n はゼロでない整数です。ゼロでない整数 k に対して、
∫0Lcos(Lkπx)dx=[kπLsin(Lkπx)]0L=kπL(sin(kπ)−sin(0))=0
よって、積分は 0 となります。
(ii) m=n=0 の場合:
m−n=0 なので、
21∫0L{cos(0)+cos(L2nπx)}dx=21∫0L(1+cos(L2nπx))dx
=21[x+2nπLsin(L2nπx)]0L=21{(L+0)−(0+0)}=2L
(iii) m=n=0 の場合:
∫0Lcos(0)cos(0)dx=∫0L1dx=[x]0L=L
以上より、与式が成立することが証明されました。
- u(x,t) を x で項別微分します(級数の一様収束を仮定)。
ux(x,t)=∂x∂n=0∑∞vn(t)cos(Lnπx)=n=0∑∞vn(t)(−Lnπsin(Lnπx))
n=0 の項は 0 なので、
ux(x,t)=−Lπn=1∑∞nvn(t)sin(Lnπx)
境界 x=0 と x=L での値を計算します。
ux(0,t)=−Lπn=1∑∞nvn(t)sin(0)=0
ux(L,t)=−Lπn=1∑∞nvn(t)sin(nπ)=0(整数 n に対して sin(nπ)=0)
したがって、 u(x,t) は境界条件 ux(0,t)=ux(L,t)=0 を満たします。
- 初期条件 u(x,0)=f(x) を級数表示に代入すると、
f(x)=u(x,0)=n=0∑∞vn(0)cos(Lnπx)
これは f(x) のフーリエ余弦級数です。係数 vn(0) を求めるために、3)の直交関係を利用します。両辺に cos(Lmπx) を掛けて 0 から L まで積分します。
∫0Lf(x)cos(Lmπx)dx=n=0∑∞vn(0)∫0Lcos(Lnπx)cos(Lmπx)dx
3)の結果より、右辺の積分は n=m の項のみが残ります。
(i) m=0 の場合:
∫0Lf(x)dx=v0(0)⋅L⟹v0(0)=L1∫0Lf(x)dx
(ii) m≥1 の場合:
∫0Lf(x)cos(Lmπx)dx=vm(0)⋅2L⟹vm(0)=L2∫0Lf(x)cos(Lmπx)dx
- u(x,t)=∑n=0∞vn(t)cos(Lnπx) を ut=uxx に代入します。
左辺 ut :
ut(x,t)=n=0∑∞dtdvn(t)cos(Lnπx)
右辺 uxx :
uxx(x,t)=∂x2∂2n=0∑∞vn(t)cos(Lnπx)=n=0∑∞vn(t)(−(Lnπ)2)cos(Lnπx)
ut=uxx より、フーリエ級数の一意性から各項の係数が等しくなければなりません。
dtdvn(t)=−(Lnπ)2vn(t)
これが vn(t) が満たすべき常微分方程式です。
この方程式は変数分離形です。
vndvn=−(Lnπ)2dt
両辺を積分すると、
ln∣vn∣=−(Lnπ)2t+C′
したがって、一般解は任意定数 An を用いて次のように書けます。
vn(t)=Ane−(Lnπ)2t