九州大学 理学府 物理学専攻 2018年度 入学試験 物理学 [III]
Author
祭音Myyura (Based on ばたぱら's answer refined with GPT 6 Astra)
Description
解答にはプランク定数 h を 2π で割った定数 ℏ を用いてよい。
[III-A]
次の一次元ポテンシャル V(x) 中に閉じ込められた、質量 m の粒子の一次元運動を考える。
V(x)={0∞(0≤x≤L),(x<0, x>L).
- 波動関数 ψ(x) が 0≤x≤L で満たす、時間に依存しないシュレディンガー方程式を書け。粒子のエネルギーを E とせよ。
- ψ(x) の境界条件を全て書け。
- 0≤x≤L で ψ(x)=Asinkx+Bcoskx とおき、問2の条件を適用して A,B,k を求めよ。A,B は実数であり、ψ(x) は規格化されている。k を表すのに整数 n を用いてよいが、その範囲を示せ。
- 問3で求めた ψ(x) に対するエネルギー固有値 E を求めよ。
- n=2 の ∣ψ(x)∣2 について、−L≤x≤2L の範囲でグラフを描け。
- n=1 の ψ(x) に対して、⟨x⟩,⟨x2⟩,⟨p⟩,⟨p2⟩ をそれぞれ求めよ。以下の不定積分の公式を参考にしてよい。
∫xsin2xdx=4x2−4xsin2x−81cos2x+C,
∫x2sin2xdx=6x3−82x2−1sin2x−4xcos2x+C.
- 演算子 Y の不確定性を ΔY=⟨Y2⟩−⟨Y⟩2 で見積もる。問6の結果を用いて ΔxΔp を求めよ。
[III-B]
水素原子のシュレディンガー方程式の解は、動径波動関数 Rnl(r) と球面調和関数 Ylm(θ,ϕ) の積 Rnl(r)Ylm(θ,ϕ) で表される。陽子は原点に静止しているとし、電子の位置を極座標 (r,θ,ϕ) で表す。軌道角運動量演算子 l の x,y,z 成分を lx,ly,lz とし、量子化軸を z 軸にとる。l±=lx±ily と定義すると、
l±Ylm(θ,ϕ)=ℏ(l∓m)(l±m+1)Ylm±1(θ,ϕ),lzYlm(θ,ϕ)=mℏYlm(θ,ϕ)
を満たす。
- n,l,m の各量子数はそれぞれ何というか。
- lx2+ly2 を l+,l− で表せ。
- l2Ylm(θ,ϕ) を計算せよ。
電子はスピン角運動量をもち、その自由度は2である。2つの固有関数を α,β とおく。スピン角運動量演算子 s の x,y,z 成分を sx,sy,sz とし、量子化軸を z 軸にとる。s±=sx±isy と定義すると、
s+αs−αszαs2α=0,=ℏβ,=2ℏα,=43ℏ2α,s+βs−βszβs2β=ℏα,=0,=−2ℏβ,=43ℏ2β
を満たす。
軌道角運動量とスピン角運動量の両方に関係する演算子 l⋅s を考える。2p 軌道の固有関数 R21(r)Y11(θ,ϕ),R21(r)Y10(θ,ϕ),R21(r)Y1−1(θ,ϕ) をそれぞれ u1,u0,u−1 と略記し、スピンも含めた6つの関数 u1α,u0α,u−1α,u1β,u0β,u−1β を考える。
- l⋅s=21(l+s−+l−s+)+lzsz を用い、次の空欄ア〜エを埋めよ。
(l⋅s)u1α(l⋅s)u0α(l⋅s)u−1α(l⋅s)u1β(l⋅s)u0β(l⋅s)u−1β=lzszu1α=21ℏ2u1α,=21l+s−u0α=21ℏ2u1β,=ア,=イ,=ウ,=エ.
- 基底関数を u1α,u0α,u1β,u0β,u−1α,u−1β の順にとり、l⋅s の 6×6 行列を対角化したい。そのために、u0α,u1β を基底とする 2×2 の部分行列について考え、2つの固有値を求めよ。以下の正規直交性を用いてよい。δ はクロネッカーのデルタ、σ はスピン座標、∗ は複素共役を表す。
∫0∞Rnl∗(r)Rn′l(r)r2dr=δnn′,
∫02π∫0πYlm∗(θ,ϕ)Yl′m′(θ,ϕ)sinθdθdϕ=δll′δmm′,
σ=±ℏ/2∑α∗(σ)α(σ)=σ=±ℏ/2∑β∗(σ)β(σ)=1,σ=±ℏ/2∑α∗(σ)β(σ)=σ=±ℏ/2∑β∗(σ)α(σ)=0.
- 水素原子内の電子にはスピン軌道相互作用がはたらき、その相互作用エネルギー演算子は ζ(l⋅s)(ζ>0)と表される。この相互作用によって 2p 軌道の縮退した6つの準位は2つのエネルギー準位に分裂する。各準位の縮退度とスピン軌道相互作用エネルギーを求めよ。
- 全角運動量 j=l+s について、j2=l2+s2+2(l⋅s) を用い、問6の各エネルギー準位における ⟨j2⟩ を求めよ。
题目描述
考试日期:2017年8月30日。
可以使用 ℏ=h/(2π)。
[III-A] 质量为 m 的粒子被限制在一维无限深势阱中:0≤x≤L 时 V(x)=0,区间外 V(x)=∞。
- 写出粒子在阱内满足的定态薛定谔方程,能量记为 E。
- 写出波函数 ψ(x) 的全部边界条件。
- 设阱内 ψ(x)=Asinkx+Bcoskx,其中 A,B 为实数。利用边界条件和归一化求 A,B,k;若用整数 n 表示 k,须注明 n 的范围。
- 求相应的能量本征值。
- 在 −L≤x≤2L 上画出 n=2 时的概率密度 ∣ψ(x)∣2。
- 对 n=1 求 ⟨x⟩,⟨x2⟩,⟨p⟩,⟨p2⟩。可使用题面给出的两个不定积分公式。
- 按 ΔY=⟨Y2⟩−⟨Y⟩2 计算 ΔxΔp。
[III-B] 氢原子的定态波函数写成 Rnl(r)Ylm(θ,ϕ)。质子固定在原点,电子位置用球坐标表示,取 z 轴为量子化轴。轨道角动量升降算符为 l±=lx±ily,作用规则为
l±Ylm=ℏ(l∓m)(l±m+1)Ylm±1,lzYlm=mℏYlm.
- 写出量子数 n,l,m 的名称。
- 用 l+,l− 表示 lx2+ly2。
- 计算 l2Ylm。
电子的自旋具有两个自由度,两个本征函数记为 α,β。以 z 轴为量子化轴,定义 s±=sx±isy,有
s+αs−αszαs2α=0,=ℏβ,=2ℏα,=43ℏ2α,s+βs−βszβs2β=ℏα,=0,=−2ℏβ,=43ℏ2β.
将 2p 轨道的3个空间波函数 R21Y11,R21Y10,R21Y1−1 简记为 u1,u0,u−1,与两种自旋态组合成6个态。
- 利用 l⋅s=21(l+s−+l−s+)+lzsz,求它作用于 u−1α,u1β,u0β,u−1β 的结果,依次填入ア〜エ。已知 (l⋅s)u1α=ℏ2u1α/2,(l⋅s)u0α=ℏ2u1β/2。
- 按 u1α,u0α,u1β,u0β,u−1α,u−1β 的顺序选取基底,为对角化 l⋅s 的 6×6 矩阵,先求 u0α,u1β 对应的 2×2 子矩阵的两个本征值。可使用下列正交归一关系;δ 为克罗内克符号,σ 为自旋坐标,∗ 表示复共轭。
∫0∞Rnl∗(r)Rn′l(r)r2dr=δnn′,∫02π∫0πYlm∗Yl′m′sinθdθdϕ=δll′δmm′,
σ=±ℏ/2∑α∗(σ)α(σ)=σ=±ℏ/2∑β∗(σ)β(σ)=1,σ=±ℏ/2∑α∗(σ)β(σ)=σ=±ℏ/2∑β∗(σ)α(σ)=0.
- 自旋轨道相互作用能量算符为 ζ(l⋅s),其中 ζ>0。求 2p 的6个态分裂后两个能级各自的简并度与相互作用能量。
- 利用 j=l+s 和 j2=l2+s2+2l⋅s,求上述两个能级的 ⟨j2⟩。
Kai
[III-A]
井戸の内部では V(x)=0 なので、
−2mℏ2dx2d2ψ=Eψ(x)(0<x<L).
無限に高い壁の外側では ψ(x)=0 であり、波動関数の連続性から
ψ(0)=ψ(L)=0.
無限大のポテンシャルの境界では、ψ′ の連続性は要求しない。
ψ(0)=0 より B=0。非自明な解には A=0 が必要なので、ψ(L)=AsinkL=0 より kL=nπ となる。n=0 は恒等的に零の波動関数を与え、負の n は全体の符号を変えるだけなので、n=1,2,… と選べる。
規格化条件から
1=A2∫0Lsin2Lnπxdx=A22L.
したがって
A=±L2,B=0,k=Lnπ(n=1,2,…).
以下では全体の符号を正に選び、
ψn(x)=⎩⎨⎧L2sinLnπx0(0≤x≤L),(x<0, x>L)
とする。
ψn′′=−(nπ/L)2ψn を問1の方程式に代入すると、
En=2mL2n2π2ℏ2(n=1,2,…).
∣ψ2(x)∣2=⎩⎨⎧L2sin2L2πx0(0≤x≤L),(−L≤x<0, L<x≤2L).
x=0,L/2,L で零となり、x=L/4,3L/4 で最大値 2/L をとる。井戸の外では零である。

ψ1(x)=2/Lsin(πx/L) は実関数なので、
⟨x⟩⟨x2⟩=L2∫0Lxsin2Lπxdx=2L,=L2∫0Lx2sin2Lπxdx=L2(31−2π21).
運動量演算子 p=−iℏd/dx を用いると、
⟨p⟩=−iℏ∫0Lψ1ψ1′dx=−2iℏ[ψ1(x)2]0L=0.
また、p2ψ1=−ℏ2ψ1′′=(π2ℏ2/L2)ψ1 より、
⟨p2⟩=L2π2ℏ2.
Δx=L121−2π21,Δp=Lπℏ.
したがって
ΔxΔp=ℏ12π2−21≃0.56786ℏ>2ℏ.
[III-B]
n は主量子数、l は方位量子数(軌道角運動量量子数)、m は磁気量子数である。
積を展開して加えると、交差項が打ち消し合い、
l+l−+l−l+=2(lx2+ly2).
よって
lx2+ly2=21(l+l−+l−l+).
与えられた昇降演算子の関係から、
l+l−Ylml−l+Ylmlz2Ylm=ℏ2(l+m)(l−m+1)Ylm,=ℏ2(l−m)(l+m+1)Ylm,=m2ℏ2Ylm.
したがって
l2Ylm=ℏ2{2(l+m)(l−m+1)+(l−m)(l+m+1)+m2}Ylm=ℏ2l(l+1)Ylm.
l=1 なので、隣接する um の間の昇降演算子の係数は 2ℏ である。軌道とスピンにそれぞれ演算子を作用させると、
(l⋅s)u−1α(l⋅s)u1β(l⋅s)u0β(l⋅s)u−1β=21l+s−u−1α+lzszu−1α=2ℏ2u0β−2ℏ2u−1α(ア),=21l−s+u1β+lzszu1β=2ℏ2u0α−2ℏ2u1β(イ),=21l−s+u0β=2ℏ2u−1α(ウ),=lzszu−1β=2ℏ2u−1β(エ).
基底 (u0α,u1β) における部分行列は
M=ℏ2(01/21/2−1/2).
固有値を λ とすると、
det(M−λI)=λ(λ+2ℏ2)−2ℏ4=(λ−2ℏ2)(λ+ℏ2)=0.
よって2つの固有値は
λ=2ℏ2,−ℏ2.
指定された6つの基底の順では、全行列は
l⋅s⟷ℏ221000000021000021−21000000021000021−2100000021.
問5と同じ 2×2 ブロックが2つあり、さらに u1α,u−1β はいずれも固有値 ℏ2/2 をもつ。したがって、相互作用エネルギーと縮退度は
相互作用エネルギー−ζℏ2ζℏ2/2縮退度24
となる。相互作用を含む全エネルギーは、それぞれ共通の非摂動エネルギー E2p を加えた値である。
2p 状態では l=1、電子のスピン量子数は s=1/2 なので、
⟨j2⟩=2ℏ2+43ℏ2+2⟨l⋅s⟩.
よって
Eso=−ζℏ2:⟨j2⟩Eso=2ζℏ2:⟨j2⟩=43ℏ2=415ℏ2(j=21),(j=23).
Reference