九州大学 理学府 地球惑星科学専攻 2023年8月実施 問題5 熱力学
Author
Miyake
Description
以下の問い(問1~問3)に答えよ。ただし,圧力を p,温度を T,体積を V,内部エネルギーを U,エントロピーを S とおく。
内部エネルギーとエントロピーについて,以下の設問(1)~(4)に答えよ。必要なら次の関係を用いてもよい。
(∂T∂p)V=(∂V∂S)T
(∂p∂S)T=−(∂T∂V)p
(1) 等温変化での内部エネルギーと体積の関係 (∂V∂U)T を,p,T,V を用いて表せ。
(2) 理想気体の場合の設問(1)の値を求め,理想気体の性質について述べよ。
(3) エントロピーを温度と圧力の関数とし,その全微分を示せ。
(4) 等エントロピー変化での圧力と温度の関係 (∂T∂p)S を,定圧モル比熱 Cp およびモル数 n,T,V,次式で定義される熱膨張率 α を用いて表せ。
α=V1(∂T∂V)p
閉鎖系の状態は2つの状態量を指定すると一義的に決まる。そのため,体積と圧力のグラフ上に,特定の状態量の等値線を描くことができる。図1の曲線 A–B,A–C,A–D,A–E はそれぞれ,エントロピー,内部エネルギー,エンタルピー,温度の等値線を示す。以下の設問(1)~(4)に答えよ。

(1) 状態 B,C,D,E をエントロピーの高い順に答えよ。また,その理由を述べよ。ただし,この物質の熱膨張率は正であるものとする。
(2) 図2のように2つの空間に仕切られた断熱容器の一方に実在気体を入れ,他方を真空にする。その時の実在気体の状態は図1の A に一致する。仕切りの栓をはずすと気体は両空間を満たして,圧力は p1 になった。この時の実在気体の状態は B~E のいずれか。理由と共に答えよ。

(3) 図2の状態変化は不可逆過程である。この変化が不可逆過程であることは,どのような条件下でどの状態量がどのように変化したと表現できるか答えよ。
(4) 図2の状態変化を理想気体に対して行なった場合,変化の前後が同じ値となる状態量をエントロピー,内部エネルギー,エンタルピー,温度の中からすべて挙げ,その理由を説明せよ。
図3は実在気体の状態図である。臨界圧力 pc 以下の状態 B の実在気体は定圧(圧力 p0)で冷却すると温度 T1 で液化し,さらに冷却すると状態 A(温度 TA,圧力 p0)の液体になる。実在気体について,以下の設問(1),(2)に答えよ。

図3 実在気体1モルの状態図。曲線は等温線,灰色は気相と液相の共存する領域を示す。
(1) 図3中の状態 A のエントロピー SA と状態 B のエントロピー SB の差 SB−SA を求めよ。ただし,図3中の記号と,液相から気相への転移の潜熱 L,液相の定圧モル比熱 CL,気相の定圧モル比熱 CG(いずれも定数とする)を用いて表せ。
(2) 沸騰曲線の温度 T1 での dp/dT を図3中の記号と潜熱 L を用いて表せ。途中の計算過程も記すこと。
题目描述
回答以下第1~3题。记压强为 p,温度为 T,体积为 V,内能为 U,熵为 S。
第1题
关于内能和熵,回答(1)~(4)。必要时可使用下列关系:
(∂T∂p)V(∂p∂S)T=(∂V∂S)T,=−(∂T∂V)p.
(1) 用 p,T,V 表示等温变化中内能与体积的关系 (∂V∂U)T。
(2) 求理想气体情况下第(1)问的值,并说明理想气体的性质。
(3) 将熵视为温度和压强的函数,写出其全微分。
(4) 用定压摩尔热容 Cp、摩尔数 n、T,V 以及下式定义的热膨胀系数 α,表示等熵变化中压强与温度的关系 (∂T∂p)S。
α=V1(∂T∂V)p.
第2题
指定两个状态量便能唯一确定封闭系统的状态,因此可在体积与压强的图上画出特定状态量的等值线。图1中的曲线 A–B、A–C、A–D、A–E 分别为熵、内能、焓和温度的等值线。回答(1)~(4)。
(1) 将状态 B、C、D、E 按熵从高到低排列,并说明理由。假设该物质的热膨胀系数为正。
(2) 如图2,将绝热容器分隔成两个空间,一侧装入实际气体,另一侧为真空。此时实际气体的状态与图1的 A 一致。拔掉隔板上的塞子后,气体充满两个空间,压强变为 p1。此时实际气体对应 B~E 中的哪个状态?说明理由。
(3) 图2中的状态变化是不可逆过程。应如何用“在什么条件下,哪个状态量发生了怎样的变化”来表述该变化的不可逆性?
(4) 若对理想气体进行图2中的状态变化,从熵、内能、焓和温度中列出变化前后取值相同的所有状态量,并说明理由。
第3题
图3为实际气体的状态图。处于临界压强 pc 以下状态 B 的实际气体,等压(压强为 p0)冷却时会在温度 T1 液化;继续冷却后成为状态 A(温度 TA、压强 p0)的液体。图3表示1摩尔实际气体,曲线为等温线,灰色表示气液两相共存区域。回答(1)、(2)。
(1) 求图3中状态 A 的熵 SA 与状态 B 的熵 SB 之差 SB−SA。用图中符号、从液相变为气相的相变潜热 L、液相的定压摩尔热容 CL 和气相的定压摩尔热容 CG 表示;以上三者均视为常量。
(2) 用图3中的符号和潜热 L 表示沸腾曲线在温度 T1 处的 dp/dT,并写出计算过程。
Kai
問 1
(1)
dU=TdS−pdV より、
(∂V∂U)T=T(∂V∂S)T−p=T(∂T∂p)V−p(∵ 与えられた式 )
がわかる。
(2)
理想気体では、適当な定数 c を使って
p=VcT
が成り立つので、 (1) で得た式に代入して、
(∂V∂U)T=T⋅Vc−VcT=0
がわかる。
T,V を独立変数としたとき、 U は T のみに依存し V にはよらない。
(3)
dS=(∂T∂S)pdT+(∂p∂S)Tdp
(4)
等エントロピー変化では、 (3) の式より
0=(∂T∂S)p+(∂p∂S)T(∂T∂p)S
が成り立つが、
(∂T∂S)p(∂p∂S)T=TnCp,=−(∂T∂V)p=−αV(∵ 与えられた式 )(∵ 与えられた式 )
なので、
(∂T∂p)S=αVTnCp
がわかる。
問 2
(1)
同じ圧力 p1 において VB<VC<VD<VE であり、(∂V/∂T)p=αV>0 なので、TE>TD>TC>TB となる。安定な状態では Cp>0 であり、(∂S/∂T)p=nCp/T>0 だから、求める順は E,D,C,B である。
(2)
熱や仕事のやり取りがないため、
内部エネルギーが一定であり、 C である。
(3)
熱の出入りがない閉鎖系で、自由膨張によりエントロピーが増大した。この断熱過程でのエントロピー生成が不可逆性を表す。
(4)
変化の前後で同じ値となる状態量は、内部エネルギーとエンタルピーと温度である。
理由 :
(i) (3) で述べた通り、エントロピーは増大する。
(ii) (2) で述べた通り、内部エネルギーは一定である。
(iii) 理想気体では T,V の関数としての U(T,V) について
(∂T∂U)V>0, (∂V∂U)T=0
が成り立ち、 U の値が変わらないので T の値も変わらない。
(iv) エンタルピー H について H=U+pV が成り立ち、
理想気体では pV=cT ( c は状態によらない定数)が成り立つ。
U,T の値が変わらないので H の値も変わらない。
問 3
(1)
SB−SA=∫TAT1TCLdT+T1L+∫T1TBTCGdT=CLlnTAT1+T1L+CGlnT1TB
(2)
温度 T1 のときの p0,v1,v2 を、
一般の T (<Tc) について
p~0(T),v~1(T),v~2(T)
とする。
ヘルムホルツの自由エネルギー F(T,V) について
dF=−SdT−pdV
であるが、今の場合、
F(T,v~2(T))−F(T,v~1(T))=−p~0(T)(v~2(T)−v~1(T))
である。
両辺を T で微分して、
−S2(T)−p~0(T)dTdv~2(T)+S1(T)+p~0(T)dTdv~1(T)=−dTdp~0(T)(v~2(T)−v~1(T))−p~0(T)(dTdv~2(T)−dTdv~1(T))
∴ dTdp~0(T)=v~2(T)−v~1(T)S2(T)−S1(T)
となる。
ここで、 Si(T) は
温度 T , 圧力 p~0(T) , モル体積 v~i(T)
でのエントロピーである (i=1,2) 。
そこで、 T=T1 とすると、最後の式の右辺は
T1(v2−v1)L
となり、これが求める答である。
Reference