京都大学 理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 2021年8月実施 I-3 (AB)
Author
Miyake
Description
I-3A (力学)
慣性系 S に対して一定角速度 ω で回転する系 S′ ′ を考える.
回転系 S′ で見た時間微分は dtd′ で表すことにする.
回転系 S′ で静止しているベクトル A の慣性系における時間変化は dtdA=ω×A であり,
回転系から見た時間変化 dtd′A もゼロでない場合には dtdA=dtd′A+ω×A となる.
これは一般のベクトルに対して成立し,位置ベクトル r に関しても,
dtdr=dtd′r+ω×r(A)
である.
(1) 式 (A) を慣性系でさらに時間微分して,慣性系での加速度 dt2d2r と,
一定角速度 ω で回転する回転系 S′ から見た時の加速度 dt2d′2r,速度 dtd′r の関係式を表せ.
どの項がコリオリの力に相当し,どの項が遠心力に相当するか書け.
(2) 質量 m, 電荷 q を持つ荷電粒子が,中心力 F(r) の作用を受けて運動している.
mdt2d2r=F(r)(B)
この系に,一様な弱い磁場(磁束密度がどこでも B )を加えた時の運動を
考える.磁場方向の単位ベクトルを k として,力の中心のまわりに ω=ωk
で回転する回転系から見た運動方程式を書け.
(3) 回転系から見た速度と磁場による力と,コリオリの力とが打ち消し合うため
には,ω はどうであれば良いか.m, q, B で表せ.
I-3B (熱力学)
シュテファン・ボルツマンの法則を,熱力学的考察から求めたい.
(1) 気体の内部エネルギー U(S,V)(S はエントロピー,V は体積)の全微分 dU
を,温度 T と圧力 p も用いて表せ.また,気体の自由エネルギー F=U−TS
に関して,F(T,V) として,全微分 dF を表せ.
(2) 気体の温度 T と体積 V の関数としての内部エネルギー U(T,V) の全微分
dU を考えることで,(∂V∂U)T を,温度 T と圧力 p を用いて表せ.
(3) 光子気体の圧力 p は,エネルギー密度 u~ すなわち単位体積当たりの内部エネルギー VU の 31 に等しく,p=31VU=31u~ である.
このことから,熱放射場のエネルギー密度 u~ が温度 T の何乗に比例するか求めよ.導出過程を簡潔に示すこと.
Kai
I-3A (力学)
(1)
dt2d2r=dtddtdr=dtd′dtdr+ω×dtdr=dtd′(dtd′r+ω×r)+ω×(dtd′r+ω×r)=dt2d′2r+2ω×dtd′r+ω×(ω×r)
最後の表式の第2項がコリオリの力に相当し、第3項が遠心力に相当する。
(2)
B=∣B∣ とする。
慣性系 S での運動方程式は
mdt2d2r=F(r)+qdtdr×B
なので、 (1) より、回転系 S′ での運動方程式は次のようになる:
m(dt2d′2r+2ωk×dtd′r+ω2k×(k×r))=F(r)+qB(dtd′r+ωk×r)×k∴ mdt2d2r=F(r)+(qB+2mω)dtd′r×k−(qBω+mω2)k×(k×r)
(3)
求める条件は、
ω∴ ω=−2mqB=−2mqB
である。
I-3B (熱力学)
(1)
dUdF=TdS−pdV=d(U−TS)=−SdT−pdV
(2)
(∂V∂U)T=T(∂V∂S)T−p=−T∂V∂T∂2F−p=−T∂T∂V∂2F−p=T(∂T∂p)V−p
(3)
(2) で得た式に
U(T,V)=Vu~(T), p(T,V)=31u~(T)
を代入すると、
u~(T)∴ u~du~∴ logu~=T⋅31dTdu~(T)−31u~(T)=T4dT=4logT+C ( C は積分定数 )=logT4+C
となるので、 u~ は T の4乗に比例することがわかる。