京都大学 理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 2019年8月実施 I-2 (AB)
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I-2A(統計力学)
固体結晶中の 3 次元格子振動をモデル化し,比熱の温度依存性を求めることを考える.結晶を構成する原子の振動は互いに独立な調和振動子として扱えると仮定する.
原子 1 個の質量を
(1) 古典的に考える.
で与えられる場合に,カノニカル分布を用いて比熱を計算せよ.必要であればガウス積分
を用いてよい.
(2) 1 自由度の調和振動子の固有エネルギーが
と量子的に与えられる場合に,カノニカル分布を用いて比熱を計算せよ.ここで
(3) 小問(2)の場合に,十分高温と十分低温での比熱の温度依存性の特徴を述べよ.
I-2B(量子力学)
質量
のように与えられているとし,粒子は
に従うとして,以下の小問に答えよ.ここで
(1)
(2) 入射エネルギー
として,透過率を
(3) 透過率が
Kai
I-2A(統計力学)
(1)
まず、ボルツマン定数を
である。
与えられたハミルトニアンに対する分配関数を求めるため、
次の積分を計算しておく
(
よって、分配関数
(2)
1自由度の分配関数は次のように計算できる:
よって、分配関数
(3)
(i)
高温すなわち
であるから、
となり、 (1) の結果が再現される。
(ii)
低温すなわち
であるから、
となる。
I-2B(量子力学)
(1)
与えられたシュレディンガー方程式に
である。
なので、次を得る:
すなわち、
同様にして、
(2)
次のようにおくことができる:
ここで、複素数
これを
よって、透過率は次のようになる: