京都大学 理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 2015年9月実施 III-3
Author
祭音Myyura (refined with GPT 6 Astra)
Description
ボース統計に従う原子気体の Bose–Einstein 凝縮(BEC)は、原子間相互作用の弱い極限で実現される凝縮であり、1995年にルビジウムやナトリウムを用いた BEC 生成が相次いで報告された。こうした実験では、調和ポテンシャルに閉じ込められた状態で BEC が実現するため、一様系の BEC とは異なる性質を示す。以下では、原子同士の相互作用は無視し、グランドカノニカル分布の取り扱いでポテンシャルに閉じ込められたボース粒子の BEC について調べる。以下、必要に応じてプランク定数 ℏ、ボルツマン定数 kB を用いて各設問に答えよ。
各ボース粒子が感じるポテンシャルは、以下の調和振動子型ポテンシャルで表せる。
Vext(r)=21m(ωx2x2+ωy2y2+ωz2z2).(A)
ここで m は粒子の質量であり、ωa(a=x,y,z) は調和振動子ポテンシャルの形を決める角振動数である。このポテンシャル中の粒子のエネルギー準位 ϵ は次式で与えられる。
ϵ(nx,ny,nz)=(nx+21)ℏωx+(ny+21)ℏωy+(nz+21)ℏωz;(nx,ny,nz=0,1,2,…).(B)
温度 T、化学ポテンシャル μ が与えられたとき、系に存在する平均粒子数は、ボース分布関数 f(ϵ)=1/{eβ(ϵ−μ)−1}(β=(kBT)−1)を用いて、
N(T,μ)=nx=0∑∞ny=0∑∞nz=0∑∞f(ϵ(nx,ny,nz))(C)
で与えられる。
(1) ボース分布関数を f(ϵ)=∑ℓ=1∞eℓβ(μ−ϵ) と書き直した上で、式 (C) の (nx,ny,nz) に関する幾何級数和を実行すると、
N(T,μ)=ℓ=1∑∞eℓβ(μ−23ℏωm)h(ℓβℏωx)h(ℓβℏωy)h(ℓβℏωz)(D)
という表式が得られる。ここで角振動数の算術平均を ωm≡(ωx+ωy+ωz)/3 とした。式 (D) に現れる関数 h(x) を求めよ。
以下では、全粒子数 N が与えられている場合を考え、N は十分大きな数であるとする。BEC の発現をあらわに見るため、式 (C) の和を基底状態 (nx,ny,nz)=(0,0,0) の占有数 N0 とそれ以外の状態和 ∑′ で表される粒子数 N′ とに分離して、
N=N(T,μ)=f(ϵ(0,0,0))+nx,ny,nz∑′f(ϵ(nx,ny,nz))≡N0(T,μ)+N′(T,μ)(E)
と表す。ここで N′(T,μ) は励起状態にある粒子数であり、以下のように表せる:
N′(T,μ)=ℓ=1∑∞eℓβ(μ−23ℏωm){h(ℓβℏωx)h(ℓβℏωy)h(ℓβℏωz)−1}.(F)
ある温度 T での化学ポテンシャル μ は、N(T,μ)=N を満たすように定まることに注意して、十分大きな粒子数 N のもとで N0 と N′ を求めると図1のようなふるまいが得られる。

(2) 高温から温度を下げていくと、ほぼゼロであった基底状態の占有数が急に巨視的な値になる(つまり N0≫1)。このように N0 が十分大きくなるとき、化学ポテンシャルはある上限値 μc に近づくと期待される。式 (E) から N0 の表式を具体的に書き下し、その式をもとに上限値 μc を求めよ。
式 (F) より、励起状態の粒子数 N′ は化学ポテンシャルの増加関数であり、与えた温度のもとで上限値 μc に近づけると N′ は最大となる。従って、前問の結果と図1のふるまいから、この最大値が系の全粒子数 N と等しくなるときに BEC が発現するとみなし、そのときの温度を転移温度 Tc と定めることができる:
N=N′(Tc,μc).(G)
以下、このような Tc について考えよう。
(3) βℏωa≪1(a=x,y,z) であるような状況を考える。式 (F) の中括弧内を βℏωa について最初の2項まで展開することにより、
N′(T,μ)=Xℓ=1∑∞zℓ{ℓ31+Yℓ21}(H)
という表式を得る。ただし z≡eβ(μ−23ℏωm) である。式 (H) に現れる係数 X および Y を、温度 T、角振動数の算術平均 ωm≡(ωx+ωy+ωz)/3、幾何平均 Ω≡(ωxωyωz)1/3 を用いて表せ。(ヒント:x≪1 のとき、h(x)≃{x(1−x/2)}−1 と近似できることを用いよ。)
(4) 式 (H) の中括弧内の第1項のみを残す最低次の近似で式 (G) を解くことにより、転移温度 Tc(0) を求めよ(最終的な結果はツェータ関数 ζ(s)=∑ℓ=1∞1/ℓs を用いて表せ)。また、転移温度以下における基底状態の占有数の比率 N0/N を温度 T/Tc(0) の関数として表せ。
(5) 前問で無視した式 (H) の第2項の影響を考えよう。転移温度は Tc(0)→Tc=Tc(0)+ΔTc のようにずれることが期待されるが、βℏωa≪1(a=x,y,z) の状況では係数 Y は微小量となり、転移温度のずれ ΔTc は十分小さいとして扱える。式 (H) を用いて式 (G) を微小量の1次まで展開することで転移温度のずれを求め、比 ΔTc/Tc(0) を全粒子数 N と振動数 ωm,Ω を用いて表せ。(結果はツェータ関数を用いて表すこと。)
(6) 角振動数が ωx=ωy=ωz/8 の関係を満たし、かつ Ω=103[s−1] と与えられている。転移温度のずれ ΔTc/Tc(0) を1%におさえるために必要な粒子数 N とその時の転移温度 Tc はいくらか、それぞれ有効数字1桁で求めよ。ただし、ℏ=6.58×10−16[eV⋅s]、kB=8.62×10−5[eV⋅K−1] とし、以下の数表を参考にせよ。
| s=2 | s=3 | s=4 |
|---|
| {ζ(s)}1/3 | 1.18 | 1.06 | 1.03 |
| {ζ(s)}2/3 | 1.39 | 1.13 | 1.05 |
| ζ(s) | 1.64 | 1.20 | 1.08 |
题目描述
服从玻色统计的原子气体的玻色–爱因斯坦凝聚(BEC),是在原子间相互作用很弱的极限下实现的凝聚。1995年,相继报道了使用铷和钠产生 BEC 的实验。这些实验在谐振势束缚下实现 BEC,因而表现出与均匀系统 BEC 不同的性质。以下忽略原子间相互作用,以巨正则分布研究被势阱束缚的玻色粒子的 BEC。必要时可使用普朗克常数 ℏ 和玻尔兹曼常数 kB 回答各问。
每个玻色粒子所感受的势为谐振子型势:
Vext(r)=21m(ωx2x2+ωy2y2+ωz2z2).(A)
其中 m 为粒子质量,ωa(a=x,y,z) 为决定谐振势形状的角频率。该势中粒子的能级为
ϵ(nx,ny,nz)=(nx+21)ℏωx+(ny+21)ℏωy+(nz+21)ℏωz;(nx,ny,nz=0,1,2,…).(B)
给定温度 T 和化学势 μ 时,系统的平均粒子数可用玻色分布 f(ϵ)=1/{eβ(ϵ−μ)−1}(β=(kBT)−1)表示为
N(T,μ)=nx=0∑∞ny=0∑∞nz=0∑∞f(ϵ(nx,ny,nz)).(C)
(1) 将玻色分布改写为 f(ϵ)=∑ℓ=1∞eℓβ(μ−ϵ),再对式 (C) 的 (nx,ny,nz) 求几何级数和,得到
N(T,μ)=ℓ=1∑∞eℓβ(μ−23ℏωm)h(ℓβℏωx)h(ℓβℏωy)h(ℓβℏωz).(D)
其中角频率的算术平均为 ωm≡(ωx+ωy+ωz)/3。求式 (D) 中的函数 h(x)。
以下考虑总粒子数 N 给定且足够大的情况。为明确展示 BEC 的出现,将式 (C) 中的求和分为基态 (nx,ny,nz)=(0,0,0) 的占据数 N0,以及对其余状态求和 ∑′ 得到的粒子数 N′:
N=N(T,μ)=f(ϵ(0,0,0))+nx,ny,nz∑′f(ϵ(nx,ny,nz))≡N0(T,μ)+N′(T,μ).(E)
其中 N′(T,μ) 为处于激发态的粒子数,可写成
N′(T,μ)=ℓ=1∑∞eℓβ(μ−23ℏωm){h(ℓβℏωx)h(ℓβℏωy)h(ℓβℏωz)−1}.(F)
注意给定温度 T 时,化学势 μ 由 N(T,μ)=N 决定。在足够大的粒子数 N 下,求出的 N0 和 N′ 随温度呈现图1所示行为。
(2) 从高温降温时,原先接近零的基态占据数会突然变为宏观数值,即 N0≫1。当 N0 足够大时,预期化学势趋近某个上限 μc。由式 (E) 写出 N0 的具体表达式,并据此求上限 μc。
由式 (F),激发态粒子数 N′ 是化学势的增函数,在给定温度下将化学势趋近上限 μc,N′ 达到最大。结合上一问和图1,当该最大值等于总粒子数 N 时,可视为 BEC 开始出现,并定义该温度为转变温度 Tc:
N=N′(Tc,μc).(G)
以下研究这样定义的 Tc。
(3) 考虑 βℏωa≪1(a=x,y,z)。将式 (F) 大括号内关于 βℏωa 展开至前两项,得到
N′(T,μ)=Xℓ=1∑∞zℓ{ℓ31+Yℓ21},(H)
其中 z≡eβ(μ−23ℏωm)。用温度 T、角频率的算术平均 ωm≡(ωx+ωy+ωz)/3 和几何平均 Ω≡(ωxωyωz)1/3 表示式 (H) 中的系数 X,Y。提示:x≪1 时可采用 h(x)≃{x(1−x/2)}−1。
(4) 仅保留式 (H) 大括号内第一项,以最低阶近似求解式 (G),得到转变温度 Tc(0)。最终结果用泽塔函数 ζ(s)=∑ℓ=1∞1/ℓs 表示。此外,将转变温度以下的基态占据比例 N0/N 表示为温度比 T/Tc(0) 的函数。
(5) 考虑上一问忽略的式 (H) 第二项的影响。转变温度预计从 Tc(0) 偏移为 Tc=Tc(0)+ΔTc。在 βℏωa≪1(a=x,y,z) 时,系数 Y 为小量,温度偏移 ΔTc 也可视为足够小。利用式 (H),将式 (G) 展开至小量的一阶,求转变温度的偏移,并用总粒子数 N 和频率 ωm,Ω 表示比值 ΔTc/Tc(0)。结果须用泽塔函数表示。
(6) 已知角频率满足 ωx=ωy=ωz/8,且 Ω=103[s−1]。要将转变温度的相对偏移 ΔTc/Tc(0) 控制在1%,需要多少粒子 N,此时的转变温度 Tc 是多少?两者均保留一位有效数字。取 ℏ=6.58×10−16[eV⋅s]、kB=8.62×10−5[eV⋅K−1],并参考下表。
| s=2 | s=3 | s=4 |
|---|
| {ζ(s)}1/3 | 1.18 | 1.06 | 1.03 |
| {ζ(s)}2/3 | 1.39 | 1.13 | 1.05 |
| ζ(s) | 1.64 | 1.20 | 1.08 |
Kai
(1)
各方向について ∑n=0∞e−nx=(1−e−x)−1 なので
h(x)=1−e−x1.
(2)
N0=eβ(3ℏωm/2−μ)−11,μc=23ℏωm.
μ<μc から上限に近づくと基底状態の占有数が大きくなる。
(3)
h(x)=x−1+1/2+O(x) なので、積の最初の二項は
a∏h(ℓβℏωa)=(ℓβℏ)3Ω31+2(ℓβℏ)2Ω33ωm+⋯.
従って
X=(ℏΩkBT)3,Y=2kBT3ℏωm.
(4)
転移点では z=1。N=Xζ(3) より
Tc(0)=kBℏΩ(ζ(3)N)1/3.
凝縮相では μ≃μc、N′/N=(T/Tc(0))3 だから
NN0=1−(Tc(0)T)3(0≤T≤Tc(0)).
(5)
δ=ΔTc/Tc(0)、Y0=3ℏωm/(2kBTc(0)) とする。一次までで
N=X0[ζ(3)(1+3δ)+Y0ζ(2)]+O(Y02).
Y0δ は二次なので除き、
Tc(0)ΔTc=−2ζ(3)2/3ζ(2)ΩωmN−1/3.
有限粒子数の補正は転移温度を低下させる。
(6)
ωz=4Ω、ωx=ωy=Ω/2 なので ωm/Ω=5/3。従って
N1/3≥2×1.131.64350.011≃121,Nmin≃1.77×106.
この閾値で
Tc≃0.998.62×10−56.58×10−16×1031.06121K≃8.6×10−7K.
有効数字 1 桁では
N≃2×106,Tc≃9×10−7K.
Reference