京都大学 理学研究科 数学・数理解析専攻 2023年8月実施 基礎科目 [1] ~ [4]
Author
Miyake
Description
[2]
a を複素数とし、複素 3 次正方行列 A を
A=a−112a0−a−2a01a+1
と定める。行列 A の固有値を全て求めよ。また、A の階数を求めよ。
[3]
n,m を n≥2m を満たす正の整数とする。V を有限次元複素ベクトル空間とする。
f:V→V を fn=fm を満たす線形写像とする。こと時、
V=Ker(fm)⊕Im(fm)
を示せ。ここで、Ker(fm) は fm の核であり、Im(fm) は fm の像である。
Kai
[2]
(i) A の固有値を λ とすると、
0∴ λ=a−1−λ12a0−a−λ−2a01a+1−λ=(a−1−λ)−a−λ−2a1a+1−λ=−(λ−a+1)(λ2−λ−a(a−1))=−(λ−a+1)(λ−a)(λ+a−1)=a−1,a,−a+1
である。
(ii) A を列基本変形すると、次のようにできる:
a−10a−101a+100a(a−1).
これを構成する3つの列ベクトルの1次独立性に注目すると、A のランクは、a=1 のときは 1 , a=0 のときは 2 , その他のときは 3であることがわかる。
[3]
(i)
v∈V に対して
wu=fn−m(v),=v−w
とおく。
n≥2m なので、
w=fm(fn−2m(v))
と書け、 fn−2m(v)∈V なので w∈Im(fm) である。
また、
fm(u)=fm(v)−fn(v)=0
なので、 u∈Ker(fm) である。
したがって、任意の v∈V に対して
v=u+w
であるような u∈Ker(fm), w∈Im(fm)
が存在するので、
V⊂Ker(fm)+Im(fm) (={u+w∣u∈Ker(fm),w∈Im(fm)})
がわかる。
(ii)
Ker(fm)⊂V, Im(fm)⊂V から
Ker(fm)+Im(fm)⊂V
がわかる。
(iii)
v∈V が
v∈Ker(fm) かつ v∈Im(fm)
を満たすとすると、
v∈Im(fm) より
v=fm(v0)
を満たす v0∈V が存在し、
v=fm(v0)=fn(v0) (∵fn=fm)=fn−2m(fm(v))=fn−2m(0) (∵v∈Ker(fm))=0
を得る。
つまり、
Ker(fm)∩Im(fm)={0}
である。
(iv)
(i), (ii) より、
V=Ker(fm)+Im(fm)
がわかり、さらに (iii) より、
V=Ker(fm)⊕Im(fm)
がわかる。