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京都大学 情報学研究科 システム科学専攻 2026年8月実施 制御工学

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AnonTokyo #83056

Description​

問題 1​

図 1 のフィードバック制御系 (feedback control system) において,

L(s)=as+3s3+3s2+7s+bL(s)=\frac{as+3}{s^3+3s^2+7s+b}

とし,a,ba,b は定数パラメータとする。以下の設問に答えよ。

(1) b=5b=5 のとき,L(s)L(s) のインパルス応答 (impulse response) を求めよ。

(2) rr から yy への伝達関数 (transfer function) Gyr(s)G_{yr}(s) を求めよ。ss について降べきの順 (in descending powers of ss) で整理すること。

(3) Gyr(s)G_{yr}(s) が安定 (stable) となる a,ba,b の条件を求め,その条件を満たす点 (a,b)(a,b) の集合 (set) を aa-bb 平面に図示せよ。境界と aa 軸および bb 軸との交点の座標を記すこと。

(4) Gyr(s)G_{yr}(s) のステップ応答 (step response) y(t)y(t) が lim⁡t→∞y(t)=1\lim_{t\to\infty}y(t)=1 を満たす a,ba,b が存在するか否か,理由とともに述べよ。また,存在する場合はその集合を求めよ。

図 1(原図の接続関係を Markdown で再現)

     r            +           L(s)                    y
─────→──────────( ⊕ )────────[ L(s) ]──────────●─────→
− ↑ │
└───────────(単位負帰還)────┘

問題 2​

一巡伝達関数 (loop transfer function) が次式で与えられる負帰還制御系 (negative feedback control system) を考える。

G(s)=K(1−s)2s(s+1)G(s)=\frac{K(1-s)}{2s(s+1)}

以下の設問に答えよ。なお,設問 (4) までは K=1K=1 とする。また,20log⁡102=6.020\log_{10}2=6.0,tan⁡27∘=0.5\tan27^\circ=0.5 としてよい。

(1) G(s)G(s) の極 (pole) および零点 (zero) を求めよ。

(2) G(s)G(s) のゲインと位相を求めよ。さらに,ゲイン線図 (gain diagram) および位相線図 (phase diagram) の概形を描け。

(3) ゲイン交差角周波数 (gain crossover frequency),位相交差角周波数 (phase crossover frequency),ゲイン余裕 (gain margin),位相余裕 (phase margin) を求めよ。なお,単位も書くこと。

(4) 得られたゲイン余裕および位相余裕に基づいて,この制御系の安定性 (stability) を判定せよ。

(5) KK の値を変化させると,ゲイン余裕も変化する。ゲイン余裕が 0 dB0\,\mathrm{dB} となる KK を求めよ。

Kai​

問題 1​

(1) インパルス応答​

b=5b=5 のとき,

s3+3s2+7s+5=(s+1)[(s+1)2+4].s^3+3s^2+7s+5=(s+1)\bigl[(s+1)^2+4\bigr].

部分分数分解すると,

L(s)=3−a4(s+1)+(a−3)(s+1)/4+a(s+1)2+4.L(s)=\frac{3-a}{4(s+1)}+ \frac{(a-3)(s+1)/4+a}{(s+1)^2+4}.

逆ラプラス変換により,因果系のインパルス応答は

h(t)=e−t[3−a4+a−34cos⁡2t+a2sin⁡2t]u(t)\boxed{h(t)=e^{-t}\left[\frac{3-a}{4}+\frac{a-3}{4}\cos2t+\frac a2\sin2t\right]u(t)}

となる。ここで u(t)u(t) は単位ステップ関数である。

(2) 閉ループ伝達関数​

単位負帰還より y=L(s)(r−y)y=L(s)(r-y) なので,

Gyr(s)=L(s)1+L(s)=as+3s3+3s2+(7+a)s+(b+3).\boxed{G_{yr}(s)=\frac{L(s)}{1+L(s)} =\frac{as+3}{s^3+3s^2+(7+a)s+(b+3)}}.

(3) 安定条件と領域​

閉ループ特性多項式 p(s)=s3+3s2+(7+a)s+b+3p(s)=s^3+3s^2+(7+a)s+b+3 に Routh–Hurwitz の判別法を適用する。漸近安定であるための条件は

7+a>0,b+3>0,3(7+a)>b+3.7+a>0,\qquad b+3>0,\qquad 3(7+a)>b+3.

従って,これらを整理すると

−3<b<3a+18\boxed{-3<b<3a+18}

となる。この開領域は b=−3b=-3 の上側かつ b=3a+18b=3a+18 の下側にあり,境界線は含まない。境界の交点は (−7,−3)(-7,-3),座標軸との交点は (0,−3)(0,-3),(−6,0)(-6,0),(0,18)(0,18) である。

安定性の定義についての補足: 通常の閉ループ特性多項式による内部漸近安定の条件は上式である。問題文の「伝達関数が安定」を極零相殺後の入出力 BIBO 安定だけの意味で解釈する場合は,正の不安定極が相殺される例外的なパラメータも存在する。すなわち r>0r>0 として

a=−3r,b=−r(r2+3r+7),r3+3r2+7r−3>0a=-\frac3r,\qquad b=-r(r^2+3r+7),\qquad r^3+3r^2+7r-3>0

の場合,(s−r)(s-r) が分子・分母で相殺され,残る二次因子は安定である。ただし相殺された不安定モードが内部的に安定化されるわけではない。通常の安定領域図は前記の開領域を示す。

(4) ステップ応答の最終値​

最終値が存在するとき,最終値定理により

lim⁡t→∞y(t)=lim⁡s→0Gyr(s)=3b+3.\lim_{t\to\infty}y(t)=\lim_{s\to0}G_{yr}(s)=\frac3{b+3}.

この値が 1 になるには b=0b=0 が必要である。そのとき閉ループ安定条件は a>−6a>-6 となるので,条件を満たすパラメータは存在し,その全体は

{(a,b)∣a>−6, b=0}\boxed{\{(a,b)\mid a>-6,\ b=0\}}

である。

問題 2​

(1) 極と零点​

K=1K=1 のとき G(s)=(1−s)/[2s(s+1)]G(s)=(1-s)/[2s(s+1)] だから,

極: s=0,−1;零点: s=1.\boxed{\text{極: }s=0,-1;\qquad\text{零点: }s=1}.

(2) ゲイン・位相・ボード線図​

s=jωs=j\omega(ω>0\omega>0)を代入すると,

∣G(jω)∣=∣1−jω∣2ω∣1+jω∣=12ω.\left|G(j\omega)\right| =\frac{|1-j\omega|}{2\omega|1+j\omega|} =\boxed{\frac1{2\omega}}.

従ってデシベル表示は

M(ω)=20log⁡10∣G(jω)∣=−6.02−20log⁡10ω dB.\boxed{M(\omega)=20\log_{10}|G(j\omega)|=-6.02-20\log_{10}\omega\ \mathrm{dB}}.

右半平面零点 s=1s=1 の位相寄与に注意して,

ϕ(ω)=−90∘−2arctan⁡(ω)180∘π.\boxed{\phi(\omega)=-90^\circ-2\arctan(\omega)\frac{180^\circ}{\pi}}.

ゲイン線図は全域で傾き −20 dB/dec-20\,\mathrm{dB/dec} の直線であり,ω=0.5 rad/s\omega=0.5\,\mathrm{rad/s} で 0 dB0\,\mathrm{dB} を通る。位相は低周波で −90∘-90^\circ,ω=1\omega=1 で −180∘-180^\circ,高周波で −270∘-270^\circ に近づく。

(3) 交差周波数と余裕​

∣G(jω)∣=1|G(j\omega)|=1 より

ωgc=0.5 rad/s.\boxed{\omega_{gc}=0.5\,\mathrm{rad/s}}.

ϕ(ω)=−180∘\phi(\omega)=-180^\circ より

ωpc=1 rad/s.\boxed{\omega_{pc}=1\,\mathrm{rad/s}}.

∣G(j1)∣=1/2|G(j1)|=1/2 であるため,ゲイン余裕は

GM=2,GMdB=20log⁡102≃6.0 dB.\boxed{\mathrm{GM}=2,\quad \mathrm{GM}_{dB}=20\log_{10}2\simeq6.0\,\mathrm{dB}}.

位相余裕は

PM=180∘+ϕ(0.5)=90∘−2arctan⁡(0.5)≃36.9∘\boxed{\mathrm{PM}=180^\circ+\phi(0.5) =90^\circ-2\arctan(0.5)\simeq36.9^\circ}

である。問題文の近似を使うと約 36∘36^\circ となる。

(4) 安定性​

ゲイン余裕・位相余裕ともに正であるから,K=1K=1 の負帰還閉ループ系は安定である。実際,特性方程式は 2s2+s+1=02s^2+s+1=0 で,極の実部は −1/4-1/4 である。

(5) ゲイン余裕が 0 dB となる K​

K>0K>0 では位相交差周波数は変わらず 1 rad/s1\,\mathrm{rad/s} であり,そこでの開ループゲインは K/2K/2 である。よって

GMdB=20log⁡10(2/K).\mathrm{GM}_{dB}=20\log_{10}(2/K).

これを 0 dB0\,\mathrm{dB} と置くと

K=2\boxed{K=2}

を得る。