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京都大学 情報学研究科 システム科学専攻 2022年8月実施 数学【I】

Author

机智的若叶, 祭音Myyura

Description

問1

ベクトル に関する 元連立一次方程式 を反復法によって解くことを考える。 そのために、 次正方行列 に分解し、方程式を のように書き換え、適当な初期値 を与えて、、つまり、 を繰り返し計算する。 特に、行列 の対角要素からなる対角行列を とする反復法をヤコビ法と呼ぶ。以下の設問に答えよ。

ただし、 次正方行列 の逆行列を 、転置を 、スペクトル半径を と表す。 の固有値 の絶対値の最大値 () に等しい。

(i) が存在するとき、 から、

となる。 の固有値がすべて異なるものとして、 のとき、任意の に対して が方程式の解に収束するために が満たすべき必要十分条件をその理由とともに答えよ。

以下の設問では、次の方程式をヤコビ法を用いて解く場合について考える。

(ii) , , を求めよ。

(iii) の固有値をすべて求めよ。さらに、 のスペクトル半径を求めよ。

(iv) として、 を求めよ。

(v) を求めてから、方程式 (1) の解を求めよ。

問2

行列 の実対称行列で、その要素を と書く。さらに、すべての要素が非負であり、

を満たすと仮定する。以下の設問に答えよ。ただし、 はすべての要素が1である 次元ベクトルとする。

(i) を示せ。

(ii) 任意の零ベクトルでない 次元実ベクトル に対して、 の要素の中で絶対値が最大のものを としたとき、任意の において

が成り立つことを示せ。

(iii) の任意の固有値 に対して、 が成り立つことを示せ。

(iv) とし、 は次の形

を取るとする。 設問 (i) から、 は固有値 と対応する固有ベクトル を持つ。 もう一方の固有値 と対応する固有ベクトル を求めよ。ただし は正規化せよ。

(v) 設問 (iv) の に対し、その自然数乗 を考える。極限

が存在する の範囲を答えよ。 また、極限が存在する場合には、その極限 を求めよ。

Kai

問1

(i)

(ii)

(iii)

の固有値を とすると、

である。よって、

(iv)

(v)

問2

(i)

は行列 の 第 行目の第 列目の成分とおくと、

である。

(ii)

すべての要素が非負であり、

(iii)

固有ベクトルを とする。 任意の に対して、以下の式が成り立つ。

(ii) より、

(iv)

(v)