京都大学 情報学研究科 システム科学専攻 2019年8月実施 数学 I
Author
思齐塾, 祭音Myyura
Description
日本語版
R3 から R3 への線形写像 f の表現行列が A であるとして, 以下の設問に答えよ。 ただし, a は実数とする。
A=101210−10a
(i) 行列 A の階数(ランク)が最小になる a の値を求めよ。また, このときの行列 A の階数を求めよ。
(ii) 行列 A の階数が最小になるとき, 線形写像 f の核(カーネル)を求めよ。また, このとき, f の像の正規直交基底を求めよ。
(iii) 行列 A が対角化できなくなる a の値を求めよ。
(iv) a=3 のとき, 行列 A は行列 B と相似であることを示せ。
B=100020012
以下の設問に答えよ。ただし, det は行列式, T は転置, 行列の右上の −1 は逆行列を意味するものとし, 問題文中の行列およびベクトルの成分, スカラーはすべて実数とする。また, n,m,l は正の整数とする。さらに, m×m 行列 S , m×l 行列 T , l×m 行列 U , l×l 正則行列 V について, (m+l)×(m+l) 行列 [SUTV] と S−TV−1U が正則であれば,
[SUTV]−1=[(S−TV−1U)−1−V−1U(S−TV−1U)−1−(S−TV−1U)−1TV−1V−1+V−1U(S−TV−1U)−1TV−1]
となる。
(i) 正則な n×n 行列 A , n 次元列ベクトル b,c , スカラー d について, 以下が成り立つことを示せ。
det[AcTbd]=(detA)×(d−cTA−1b)
(ii) n≥2 とする。 A を n×n 正定値対称行列とする。このとき, A−1 も n×n 正定値対称行列となり, スカラー α>0 , (n−1) 次元列ベクトル β , (n−1)×(n−1) 行列 Δ を用いて,
A−1=[αββTΔ]
と表すことができる。 A~ を行列 A から最初の行と列を除いた (n−1)×(n−1) 小行列とするとき,
A~−1=Δ−αββT
となることを示せ。
(iii) 設問 (ii) の条件に加えて, x=[x1,x2,…,xn]T , また, x の (n−1) 次元部分ベクトルを x~=[x2,x3,…,xn]T とする。このとき, 二次形式 xTA−1x は x1 について二次式となるが, その二次式の x1 に関する最小値は x~TA~−1x~ となることを示せ。
(iv) 正方行列 An を以下のように定義する。
A1=[a0],A2=[a0a1a1a0],…,An+1=a0a1a2⋮ana1a0a1⋮an−1a2a1a0⋮an−2⋯⋯⋯⋱⋯anan−1an−2⋮a0
いま, すべての n について An を正定値対称行列とするとき, n≥2 について,
detAn+1≤detAn−1(detAn)2
となることを示せ。
题目描述
设从 R3 到 R3 的线性映射 f 在标准基下的表示矩阵为
A=101210−10a,
其中 a 为实数。回答:
- 求使 rankA 最小的 a,并求此时的最小秩。
- 在 A 的秩最小时,求线性映射 f 的核,并求
imf 的一组标准正交基。
- 求所有使 A 在实数域上不可对角化的 a。
- 当 a=3 时,证明 A 与矩阵
B=100020012
相似。
以下 det 表示行列式,记号 AT 表示矩阵 A 的转置,
A−1 表示其逆矩阵;题中所有矩阵、向量和标量的分量均为实数,
n,m,l 均为正整数。
可以使用如下分块逆矩阵公式:设
S 为 m×m 矩阵,T 为 m×l 矩阵,
U 为 l×m 矩阵,V 为可逆的 l×l 矩阵。若
[SUTV]和S−TV−1U
均可逆,则
[SUTV]−1=[(S−TV−1U)−1−V−1U(S−TV−1U)−1−(S−TV−1U)−1TV−1V−1+V−1U(S−TV−1U)−1TV−1].
回答下列问题。
- 设 A 是可逆的 n×n 矩阵,
b,c 是 n 维列向量,d 是标量。证明
det[AcTbd]=(detA)(d−cTA−1b).
- 设 n≥2,A 是 n×n 正定实对称矩阵。于是
A−1 也是正定实对称矩阵,并可写为
A−1=[αββTΔ],
其中 α>0 是标量,
β 是 (n−1) 维列向量,
Δ 是 (n−1)×(n−1) 矩阵。令
A 为从 A 删除第一行和第一列所得的
(n−1)×(n−1) 主子矩阵。证明
A−1=Δ−αββT.
- 在上一小问的条件下,令
x=[x1,x2,…,xn]T,x=[x2,x3,…,xn]T.
把二次型
xTA−1x
视为关于 x1 的二次函数,并保持
x 固定。证明它关于 x1 的最小值为
xTA−1x.
- 定义实对称 Toeplitz 方阵序列
A1=[a0],A2=[a0a1a1a0],
以及一般的
An+1=a0a1a2⋮ana1a0a1⋮an−1a2a1a0⋮an−2⋯⋯⋯⋱⋯anan−1an−2⋮a0.
假设对每个 n,An 都是正定对称矩阵。证明对所有 n≥2,
detAn+1≤detAn−1(detAn)2.
Kai
(i) 解答
行列 A の階数(ランク)は, A の行列式 det(A) が 0 でないときは 3, 0 のときは 3 未満となります。
まず, A の行列式を計算します。
det(A)=101210−10a=1(1⋅a−0⋅0)−2(0⋅a−0⋅1)+(−1)(0⋅0−1⋅1)=a+1
det(A)=0 となるのは a+1=0 , すなわち a=−1 のときです。このとき, 階数が最小になる可能性があります。
- a=−1 のとき, det(A)=0 なので, rank(A)=3 です。
- a=−1 のとき, det(A)=0 なので, rank(A)<3 です。
このときの行列 A は,
A=101210−10−1
左上の 2×2 小行列式は 1021=1=0 であるため, rank(A)≥2 です。
したがって, a=−1 のとき, rank(A)=2 となります。
これが最小の階数です。
答え: 階数が最小になる a の値は a=−1 で, そのときの階数は 2 です。
(ii) 解答
a=−1 のとき, 行列 A の階数は最小になります。
- 線形写像 f の核(カーネル) Ker(f)
Ker(f) は, 方程式 Ax=0 の解空間です。
101210−10−1xyz=000
これを連立方程式として解くと,
⎩⎨⎧x+2y−z=0y=0x−z=0
第2式より y=0 。これを第1式に代入すると x−z=0 となり, 第3式と同じです。
x=z となります。 z=t ( t は任意の実数)とおくと, x=t,y=0,z=t となります。
よって, 解ベクトルは x=t101 と表せます。
したがって, Ker(f) は以下のように表せます。
Ker(f)=⎩⎨⎧c101∣c∈R⎭⎬⎫
2. 線形写像 f の像 Im(f) の正規直交基底
Im(f) は A の列ベクトルで張られる空間(列空間)です。 rank(A)=2 なので, 基底は2つの線形独立な列ベクトルで構成されます。 A の第1列と第2列は線形独立なので, 基底として ⎩⎨⎧u1=101,u2=210⎭⎬⎫ を取ることができます。
この基底にグラム・シュミットの直交化法を適用して正規直交基底 {w1,w2} を求めます。
w1=∥u1∥u1=12+02+121101=21101
- w2 の計算:
まず, u2 から w1 方向の成分を引きます。
u2′=u2−(u2⋅w1)w1=210−210⋅2110121101
u2′=210−22⋅21101=210−101=11−1
次に, u2′ を正規化します。
w2=∥u2′∥u2′=12+12+(−1)2111−1=3111−1
答え: f の像の正規直交基底は ⎩⎨⎧21101,3111−1⎭⎬⎫ です。
(iii) 解答
ここでは f:R3→R3 の対角化なので,実数体上で考える。
特性多項式は
det(A−λI)=(1−λ)[λ2−(a+1)λ+a+1]
である。二次因子に λ=1 を代入した値は 1 なので,
1 が二次因子の根と重なることはない。二次因子の判別式は
D=(a+1)2−4(a+1)=(a+1)(a−3)
である。
- a<−1 または a>3 なら D>0 であり,相異なる3個の実固有値を
もつので実対角化できる。
- −1<a<3 なら D<0 であり,非実共役な固有値をもつので
実数体上では対角化できない。
- a=−1 では固有値 0 の代数的多重度は2であるが,(i) より
dimkerA=1 なので対角化できない。
- a=3 では固有値 2 の代数的多重度は2である。一方,
rank(A−2I)=2,dimker(A−2I)=1,
なので対角化できない。
したがって,実数体上で対角化できないための必要十分条件は
−1≤a≤3.
なお,複素数体上の対角化を意味する場合には, −1<a<3 の3固有値は
相異なるため対角化でき,対角化できない値は端点 a=−1,3 だけである。
(iv) 解答
a=3 のとき, 行列 A が行列 B と相似であることを示すには, A のジョルダン標準形が B と一致することを示せばよいです。
A=101210−103,B=100020012
(iii)の計算より, a=3 のときの A の固有値とその多重度は以下の通りです。
- 固有値 λ1=1 : 代数的多重度 1, 幾何学的多重度 1
- 固有値 λ2=2 : 代数的多重度 2, 幾何学的多重度 1
ジョルダン標準形の構造は, これらの多重度によって決まります。
- λ1=1 について: 幾何学的多重度が1なので, 1×1 のジョルダンブロックが1つです: (1) 。
- λ2=2 について: 幾何学的多重度が1なので, ジョルダンブロックは1つです。代数的多重度が2なので, ブロックのサイズは 2×2 になります: (2012) 。
したがって, A のジョルダン標準形 JA はこれらのブロックを対角に並べたものになります。
JA=100020012
これは行列 B と一致します。行列はそのジョルダン標準形と相似であるため, A は JA と相似であり, JA=B なので, A は B と相似です。
(証明終)
解答
(i) の証明
与えられた行列を M=[AcTbd] とする。 A は正則(可逆)であるため、 A−1 が存在する。
行列 M を次のようにブロック行列の積で分解できる。
[AcTbd]=[AcT01][I0A−1bd−cTA−1b]
この分解が正しいことを確認する:
[AcT01][I0A−1bd−cTA−1b]=[A⋅I+0⋅0cT⋅I+1⋅0A(A−1b)+0⋅(d−cTA−1b)cT(A−1b)+1⋅(d−cTA−1b)]=[AcTbd]
行列の積の行列式は、各行列の行列式の積に等しいので、
det(M)=det([AcT01])×det([I0A−1bd−cTA−1b])
ブロック三角行列の行列式は、対角ブロックの行列式の積となる。
det[AcT01]=(detA)×(det1)=detA
det[I0A−1bd−cTA−1b]=(detI)×det(d−cTA−1b)=1×(d−cTA−1b)
ここで、 d−cTA−1b はスカラー( 1×1 行列)なので、その行列式は値自身である。
したがって、
det[AcTbd]=(detA)×(d−cTA−1b)
が示された。
(ii) の証明
A を n×n 正定値対称行列とする。 A を次のように分割する。
A=[abbTA~]
ここで、 a はスカラー、 b は (n−1) 次元の列ベクトル、 A~ は (n−1)×(n−1) の小行列である。
A が正定値であるため、その主小行列 A~ も正定値であり、したがって正則である。
問題の冒頭で与えられたブロック行列の逆行列の公式を用いる。ここで S=a , T=bT , U=b , V=A~ と対応させる。
A−1=[abbTA~]−1=[(a−bTA~−1b)−1−A~−1b(a−bTA~−1b)−1−(a−bTA~−1b)−1bTA~−1A~−1+A~−1b(a−bTA~−1b)−1bTA~−1]
与えられた A−1 の分割形式と比較する。
A−1=[αββTΔ]
各ブロックを比較すると、
- α=(a−bTA~−1b)−1
- β=−A~−1b(a−bTA~−1b)−1=−αA~−1b
- Δ=A~−1+A~−1b(a−bTA~−1b)−1bTA~−1=A~−1+α(A~−1b)(bTA~−1)
式(2)より、 A~−1b=−α1β となる。これを式(3)に代入する。
Δ=A~−1+α(−α1β)(−α1β)T=A~−1+α(−α1β)(−α1βT)
Δ=A~−1+αα21ββT=A~−1+αββT
この式を A~−1 について解くと、
A~−1=Δ−αββT
が示された。
(iii) の証明
二次形式 Q(x)=xTA−1x を x1 と x~ を用いて展開する。
x=[x1x~],A−1=[αββTΔ]
Q(x)=[x1x~T][αββTΔ][x1x~]
=[x1x~T][αx1+βTx~βx1+Δx~]
=x1(αx1+βTx~)+x~T(βx1+Δx~)
=αx12+x1βTx~+x~Tβx1+x~TΔx~
x1βTx~ はスカラーなので、その転置 x~Tβx1 と等しい。したがって、
Q(x)=αx12+2(βTx~)x1+x~TΔx~
この式は、 x1 に関する二次関数である。 A が正定値なので、 A−1 も正定値であり、その主小行列である α は α>0 である。したがって、この二次関数は下に凸の放物線であり、最小値を持つ。
最小値は、この二次関数を x1 で微分して 0 とおくことで見つけられる。
∂x1∂Q(x)=2αx1+2(βTx~)=0
これを解くと、最小値を与える x1 の値 x1∗ は、
x1∗=−αβTx~
となる。
この x1∗ を Q(x) の式に代入して最小値を計算する。
x1minQ(x)=α(−αβTx~)2+2(βTx~)(−αβTx~)+x~TΔx~
=αα2(βTx~)2−2α(βTx~)2+x~TΔx~
=α(βTx~)2−2α(βTx~)2+x~TΔx~
=−α(βTx~)2+x~TΔx~
ここで、 (βTx~)2=(x~Tβ)(βTx~)=x~T(ββT)x~ と書けるので、
x1minQ(x)=x~TΔx~−αx~TββTx~=x~T(Δ−αββT)x~
設問 (ii) の結果から、 A~−1=Δ−αββT である。
したがって、二次形式の最小値は、
x1minxTA−1x=x~TA~−1x~
となり、題意は示された。
(iv)
设 Dn=detAn 。根据题意, An 对所有 n 都是正定矩阵,因此其所有主子式都为正。特别地,行列式 Dn=detAn>0 对所有 n 成立。
需要证明的不等式为:
Dn+1≤Dn−1Dn2
因为 Dn−1>0 ,该不等式等价于:
Dn+1Dn−1≤Dn2
我们将使用 Desnanot-Jacobi 恒等式(也称为 Sylvester 行列式恒等式或 Dodgson 凝聚法)。对于任意一个 m×m 矩阵 M ,该恒等式为:
det(M)det(M1,m1,m)=det(M11)det(Mmm)−det(M1m)det(Mm1)
其中, Mij 表示从 M 中移除第 i 行和第 j 列得到的子矩阵, Mi,jk,l 表示移除第 i,j 行和第 k,l 列得到的子矩阵。
我们将此恒等式应用于 (n+1)×(n+1) 矩阵 M=An+1 。此时 m=n+1 。
det(An+1)det((An+1)1,n+11,n+1)=det((An+1)11)det((An+1)n+1n+1)−det((An+1)1n+1)det((An+1)n+11)
接下来,我们根据 An+1 的结构来确定上式中各项的行列式:
-
An+1 本身: det(An+1)=Dn+1 。
-
(An+1)11 是移除第一行和第一列得到的子矩阵。根据 An+1 的定义,这是一个 n×n 的主子矩阵,其结构与 An 完全相同。
(An+1)11=An⟹det((An+1)11)=Dn
- (An+1)n+1n+1 是移除最后一行和最后一列得到的子矩阵。同样,这也是 An 。
(An+1)n+1n+1=An⟹det((An+1)n+1n+1)=Dn
- (An+1)1,n+11,n+1 是移除第一行、最后一行、第一列和最后一列得到的子矩阵。这是一个 (n−1)×(n−1) 的中心子矩阵,其结构与 An−1 相同(此步骤要求 n≥2 )。
(An+1)1,n+11,n+1=An−1⟹det((An+1)1,n+11,n+1)=Dn−1
- (An+1)n+11 和 (An+1)1n+1 是非主子矩阵。由于 An+1 是一个对称矩阵,其元素满足 (An+1)ij=(An+1)ji 。我们来比较这两个子矩阵。
令 B=(An+1)1n+1 和 C=(An+1)n+11 。
C 的 (i,j) 元素为 (An+1)i,j+1 。
B 的 (j,i) 元素为 (An+1)j+1,i 。
因为 An+1 是对称的, (An+1)i,j+1=(An+1)j+1,i 。所以 Cij=Bji 。
这意味着 C=BT 。因此,它们的行列式相等:
det((An+1)n+11)=det(((An+1)1n+1)T)=det((An+1)1n+1)
将以上结果代入 Desnanot-Jacobi 恒等式:
Dn+1⋅Dn−1=Dn⋅Dn−det((An+1)1n+1)⋅det((An+1)n+11)
Dn+1Dn−1=Dn2−(det((An+1)1n+1))2
令 Cn=det((An+1)1n+1) 。由于 An+1 的元素是实数, Cn 是一个实数,所以 Cn2≥0 。
因此,我们得到:
Dn+1Dn−1=Dn2−Cn2≤Dn2
我们已经证明了 Dn+1Dn−1≤Dn2 。因为 An−1 是正定矩阵,所以 Dn−1=detAn−1>0 。两边同时除以 Dn−1 ,不等号方向不变:
Dn+1≤Dn−1Dn2
证明完毕。