京都大学 情報学研究科 知能情報学専攻 2019年8月実施 情報学基礎 F1-1
Author
Miyake
Description
日本語版
設問1
以下の 2×2 正方行列 A について考える。
A=(4−2−27)
このとき、以下の問いに答えよ。
(1) Aの行列式を求めよ。
(2) Aの逆行列を求めよ。
(3) Aの固有値と対応する固有ベクトルを全て求めよ。
(4) Aは正定値行列か判定せよ。理由も述べよ。
(5) Aを対角化せよ。
設問2
任意の実対称行列について、以下の問いに答えよ。
(1) すべての固有値が実数となることを証明せよ。
(2) 異なる固有値に対応する固有ベクトルは直交することを証明せよ。
Kai
設問1
(1)
detA=4⋅7−(−2)⋅(−2)=24
(2)
A−1=241(7224)
(3)
A の固有値 λ は次のように求められる:
0∴ λ=det(4−λ−2−27−λ)=(4−λ)(7−λ)−4=(λ−3)(λ−8)=3,8
固有値 λ=3 に属する固有ベクトルを求めるために、
次のようにおく:
(4−2−27)(xy)=3(xy)
これから x=2y がわかるので、例えば、
(21)
が求める固有ベクトルである。
固有値 λ=8 に属する固有ベクトルを求めるために、
次のようにおく:
(4−2−27)(xy)=8(xy)
これから 2x=−y がわかるので、例えば、
(1−2)
が求める固有ベクトルである。
(4)
任意の実数 x,y について次のように計算できる:
(xy)A(xy)=(xy)(4−2−27)(xy)=4x2−4xy+7y2=4(x−21y)2+6y2.
これは x=y=0 のときを除いて正の数であるので、
A は正定値行列である。
(5)
(3) で求めた固有ベクトルを使って、
V=51(211−2)
とおくと、その転置行列は、
VT=51(211−2)
となる。
これらを使って、次のように A を対角化できる:
VTAV=51(211−2)(4−2−27)(211−2)=(3008).
設問1
行列やベクトルのエルミート共役を † ,
複素数の複素共役を ∗ で表す。
(1)
実対称行列 A の固有値を α とし、
これに属する固有ベクトルを x とする:
Ax=αx
両辺に左から x† をかけると、次を得る:
x†Ax=αx†x
これのエルミート共役をとり、 A=A† を使うと、次を得る:
x†Ax=α∗x†x
よって、次を得る:
α∗x†x=αx†x
x はゼロベクトルではなく x†x>0 なので、
次を得る:
α∗=α
すなわち、固有値 α は実数である。
(2)
実対称行列 A の2つの相異なる固有値を α,β とし、
それぞれに属する固有ベクトルを x,y とする:
Ax=αx, Ay=βy
1番目の式の両辺に左から y† をかけ、
2番目の式の両辺に左から x† をかけると、
次のようになる:
y†Ax=αy†x, x†Ay=βx†y
これの2番目の式のエルミート共役をとって、
A†=A,β∗=β を使うと、次のようになる:
y†Ax=βy†x
よって、次を得る:
(α−β)y†x=0
α=β であるから、 y†x=0
すなわち x と y は直交する。