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京都大学 情報学研究科 知能情報学専攻 2019年8月実施 情報学基礎 F1-1

Author

Miyake

Description

日本語版

設問1

以下の 正方行列 について考える。

このとき、以下の問いに答えよ。

(1) の行列式を求めよ。

(2) の逆行列を求めよ。

(3) の固有値と対応する固有ベクトルを全て求めよ。

(4) は正定値行列か判定せよ。理由も述べよ。

(5) を対角化せよ。

設問2

任意の実対称行列について、以下の問いに答えよ。

(1) すべての固有値が実数となることを証明せよ。

(2) 異なる固有値に対応する固有ベクトルは直交することを証明せよ。

Kai

設問1

(1)

(2)

(3)

の固有値 は次のように求められる:

固有値 に属する固有ベクトルを求めるために、 次のようにおく:

これから がわかるので、例えば、

が求める固有ベクトルである。

固有値 に属する固有ベクトルを求めるために、 次のようにおく:

これから がわかるので、例えば、

が求める固有ベクトルである。

(4)

任意の実数 について次のように計算できる:

これは のときを除いて正の数であるので、 は正定値行列である。

(5)

(3) で求めた固有ベクトルを使って、

とおくと、その転置行列は、

となる。

これらを使って、次のように を対角化できる:

設問1

行列やベクトルのエルミート共役を , 複素数の複素共役を で表す。

(1)

実対称行列 の固有値を とし、 これに属する固有ベクトルを とする:

両辺に左から をかけると、次を得る:

これのエルミート共役をとり、 を使うと、次を得る:

よって、次を得る:

はゼロベクトルではなく なので、 次を得る:

すなわち、固有値 は実数である。

(2)

実対称行列 の2つの相異なる固有値を とし、

それぞれに属する固有ベクトルを とする:

1番目の式の両辺に左から をかけ、

2番目の式の両辺に左から をかけると、

次のようになる:

これの2番目の式のエルミート共役をとって、

を使うと、次のようになる:

よって、次を得る:

であるから、 すなわち は直交する。