金沢大学 自然科学研究科 電子情報通信学専攻 2022年8月実施 専門科目 情報理論
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金沢大学
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無記憶情報源 S={s1,s2} において s1 の発生確率 P(s1) が p, 0≤p≤1 であった。この無記憶情報源 S の出力を用いて a1=s1, a2=s2 とおき,送信記号集合 A={a1,a2} を構成する。
この送信記号集合 A に属する記号 ai を,通信路行列
T=(1−qqq1−q),0≤q≤1
である通信路 C を介して送信したとき,受信記号集合 B={b1,b2} に属する記号 bj が受信されるとする。通信路 C の通信路行列 T の i 行 j 列要素は,ai を送信したときに bj が受信される事象の発生確率を表す。
ただし,エントロピー関数 H(x), 0≤x≤1 は
H(x)=−xlog2x−(1−x)log2(1−x)
であり,x=1/2 のとき最大値 1 となる。
S の 2 次拡大情報源 S2 のエントロピー H(S2) を求め,エントロピー関数 H(p) を用いて表しなさい。
符号 C では S2 の情報源記号が符号化され,情報源記号 s1s1, s1s2 は下表に示す c1, c2 にそれぞれ符号化される。
| 情報源記号 | 符号語 |
|---|
| s1s1 | c1=000000 |
| s1s2 | c2=001110 |
| s2s1 | c3= |
| s2s2 | c4= |
符号語 ck,cℓ∈C のハミング距離 h(ck,cℓ) を用いて
dmin(C)=ck=cℓ, ck,cℓ∈Cminh(ck,cℓ)
と定義される。C の最小ハミング距離 dmin(C) が 3 であり,s2s1, s2s2 それぞれの符号語 c3, c4 のハミング重み w(c3),w(c4) がいずれも 3 であるとする。
このとき,符号語 c3, c4 となりえる符号語の組み合わせの数を求めなさい。ただし,ある符号語 ca,cb を C として採用できるとき,c3=ca, c4=cb という割り当てと c3=cb, c4=ca という割り当ては,符号語 c3,c4 となりえる符号語の組み合わせの数としては 1 つと数えることとする。
H(B) を求め,エントロピー関数 H(α) を用いて表しなさい。ただし,
α=p+q−2pq
とする。
事後確率 P(a1∣b1) と P(a1∣b2) を求めなさい。
H(A∣B) を求め,エントロピー関数を用いて表しなさい。そして,通信路 C の通信路容量を求めなさい。
Kai
S2 の各情報源記号の発生確率は
P(s1s1)=p2
P(s1s2)=P(s2s1)=p(1−p)
P(s2s2)=(1−p)2
である。
したがって,
H(S2)=−p2log2p2−2p(1−p)log2{p(1−p)}−(1−p)2log2(1−p)2=−2p2log2p−2p(1−p)log2p−2p(1−p)log2(1−p)−2(1−p)2log2(1−p)=−2plog2p−2(1−p)log2(1−p)=2H(p)
よって,
H(S2)=2H(p)
である。
c1=000000 であり,w(c3)=w(c4)=3 であるため,
h(c1,c3)=h(c1,c4)=3
となり,これは dmin(C)=3 を満たす。
次に,c2=001110 とのハミング距離を考える。c2 の 1 が立っている位置は第 3, 4, 5 ビットである。c3,c4 はハミング重み 3 であるから,c2 と 1 の位置が 2 個以上重なると,c2 とのハミング距離が 2 以下となり,dmin(C)=3 を満たさない。
したがって,c3,c4 の候補は,c2 の 1 の位置と高々 1 個だけ重なる符号語である。
この条件を満たす符号語は次の 10 個である。
| c3,c4 の符号語の候補 | 符号語 |
|---|
| ccand1,1 | 111000 |
| ccand1,2 | 101001 |
| ccand1,3 | 011001 |
| ccand2,1 | 110100 |
| ccand2,2 | 100101 |
| ccand2,3 | 010101 |
| ccand3,1 | 110010 |
| ccand3,2 | 100011 |
| ccand3,3 | 010011 |
| ccand4 | 110001 |
ただし,ccand4=110001 は,他の 9 個の候補のいずれとも 1 の位置が 2 個重なる。したがって,他の候補とのハミング距離は
となり,c3,c4 の組として同時に採用することはできない。
一方,残りの 9 個の候補については,1 つの符号語に対して,ハミング距離が 3 以上となる相手が 4 個存在する。
したがって,順序を区別しない組み合わせの数は
29×4=18
である。
よって,求める符号語 c3,c4 となりえる符号語の組み合わせの数は
である。
受信記号 b1 の発生確率は
P(b1)=P(a1)P(b1∣a1)+P(a2)P(b1∣a2)=p(1−q)+(1−p)q=p+q−2pq
である。
ここで
α=p+q−2pq
より,
P(b1)=α
また,
P(b2)=1−α
である。
したがって,
H(B)=−αlog2α−(1−α)log2(1−α)=H(α)
よって,
H(B)=H(α)
である。
ベイズの定理より,
P(a1∣b1)=P(b1)P(a1)P(b1∣a1)
である。ここで,
P(a1)=p,P(b1∣a1)=1−q,P(b1)=α
だから,
P(a1∣b1)=αp(1−q)
である。
同様に,
P(a1∣b2)=P(b2)P(a1)P(b2∣a1)
であり,
P(b2∣a1)=q,P(b2)=1−α
より,
P(a1∣b2)=1−αpq
である。
問4より,
P(a1∣b1)=αp(1−q),P(a2∣b1)=α(1−p)q
であり,
P(a1∣b2)=1−αpq,P(a2∣b2)=1−α(1−p)(1−q)
である。また,
P(b1)=α,P(b2)=1−α
である。
したがって,条件付きエントロピー H(A∣B) は
H(A∣B)== P(b1)H(A∣b1)+P(b2)H(A∣b2) α(−αp(1−q)log2αp(1−q)−α(1−p)qlog2α(1−p)q)+(1−α)(−1−αpqlog21−αpq−1−α(1−p)(1−q)log21−α(1−p)(1−q))
となる。これを整理すると,
H(A∣B)=−p(1−q)log2αp(1−q)−(1−p)qlog2α(1−p)q−pqlog21−αpq−(1−p)(1−q)log21−α(1−p)(1−q)
である。
さらに対数を展開すると,
H(A∣B)=−p(1−q){log2p+log2(1−q)−log2α}−(1−p)q{log2(1−p)+log2q−log2α}−pq{log2p+log2q−log2(1−α)}−(1−p)(1−q){log2(1−p)+log2(1−q)−log2(1−α)}
となる。各項をまとめると,
H(A∣B)=−plog2p−(1−p)log2(1−p)−qlog2q−(1−q)log2(1−q)+αlog2α+(1−α)log2(1−α)
である。
したがって,
H(A∣B)=H(p)+H(q)−H(α)
となる。
次に,相互情報量は
I(A;B)=H(A)−H(A∣B)
であるから,
I(A;B)=H(p)−{H(p)+H(q)−H(α)}=H(α)−H(q)
である。
よって,通信路 C の通信路容量は
Ccap=pmaxI(A;B)=pmax{H(α)−H(q)}
である。
ここで,H(q) は p に依存しないので,H(α) が最大となるように p を選べばよい。エントロピー関数 H(α) は
α=21
のとき最大値 1 をとる。
また,
α=p+q−2pq
であるから,q=21 のとき,
とすれば
α=21
となる。したがって,
Ccap=1−H(q)
である。