東京科学大学 物質理工学院 応用化学系 2025年8月実施 問題I-2
Author
祭音Myyura (Based on ソニア's answer refined with GPT 6 Astra)
Description
以下の設問(1)および(2)に答えよ。
(1)
ニッケル,パラジウム,および銅の錯体に関する以下の文章を読み,問①~⑥に答えよ。なお,Lはドナー性配位子である。
4配位Ni(II)錯体に対する代表的な幾何構造は2つあり,このうち,カ:【ア】形構造をもつ錯体は一般に反磁性であり,【イ】形構造をもつ錯体は一般に常磁性である。一方,キ:1種類の配位子のみをもつ6配位Ni(II)錯体は,通常,常磁性であり,その有効磁気モーメントの値は,スピン多重度の状態である【ウ】に対するスピンオンリーの磁気モーメントの値に近い。一般に,6配位錯体 はヤーン・テラーひずみを起こさない。このことは,ク:6配位錯体 がヤーン・テラーひずみを起こすこととは対照的である。4配位単核Ni錯体の例として,【エ】価のNi中心をもつ がある。この錯体を【オ】すると, が生じる。一方,ケ:【オ】する条件を変更することで, も得られる。 は反磁性であり,各CN配位子は,それぞれ1つのNi原子のみに 型で配位している。
ニッケルと同族の元素であるパラジウムの4配位Pd錯体 は,ブロモベンゼンと有機金属試薬のクロスカップリング反応に対する触媒前駆体として用いることができる。触媒前駆体 から 配位子が解離することにより生じる2配位Pd錯体 が触媒活性種としてはたらく。コ:触媒サイクルにおける第一段階は,ブロモベンゼンが に対して酸化的付加し,4配位Pd単核錯体が生成する反応である。
① 文章中の空欄ア~ウおよびオにあてはまるもっとも適切な語を答えよ。また,空欄エにあてはまる数字を答えよ。語については,以下の語群の中から選ぶこと。同じ語を繰り返し用いてもよい。
【語群】直線,三方錐,三方両錐,四方錐,四面体,八面体,平面三角,平面四角,酸化,還元,中和,昇華,一重項,二重項,三重項,四重項,五重項,六重項
② カについて,2つの幾何構造それぞれにおけるd軌道分裂の様子を例にならって記せ。また,それぞれの基底状態に対する電子占有状態を,例にならって半矢印を用いて示せ。

③ キについて,1種類の配位子のみをもつ6配位Ni(II)錯体に対するスピンオンリーの磁気モーメントの値を答えよ。値は,小数点以下第3位を四捨五入して小数点以下第2位までの数字とし,単位はボーア磁子 とせよ。なお,算出に際して,以下の値を用いてもよい。
④ クについて,6配位錯体 がヤーン・テラーひずみを起こす理由を,2行程度で簡潔に説明せよ。なお,以下の語群に示した語を全て使うこと(繰り返し用いてもよい)。
【語群】縮重,軌道
⑤ ケについて, の構造を,金属まわりの立体化学がわかるように書け。
⑥ コについて,以下の問(i)および(ii)に答えよ。
(i) この酸化的付加反応において,形成される結合,および切断される結合をそれぞれすべて答えよ。答える際には,「Z–Z結合」と記すこと(Zは元素記号である)。該当する結合がない場合は,「なし」と答えること。
(ii) この酸化的付加反応では,解離した が存在するにもかかわらず,6配位Pd単核錯体は生じない。6配位Pd単核錯体が生じない理由を,中心金属の価電子数の観点から,2行程度で簡潔に説明せよ。
(2)
と は,内圏機構に基づいて,以下に示す中間体Aおよび中間体Bの間の電子移動を経て, と を生成する。以下の問①および②に答えよ。

① および の中心金属の形式酸化数をそれぞれ答えよ。
② 中間体Bの構造を,金属まわりの立体化学がわかるように書け。また,中心金属の形式酸化数を,構造中の元素記号の右肩に記せ。
题目描述
回答以下(1)、(2)各题。
(1) 阅读以下有关镍、钯、铜配合物的文字,回答①~⑥。L为给体配体。
四配位Ni(II)配合物有两种典型几何结构,其中カ:具有【ア】形结构的配合物通常为抗磁性,具有【イ】形结构的配合物通常为顺磁性。另一方面,キ:仅含一种配体的六配位Ni(II)配合物通常为顺磁性,其有效磁矩接近自旋多重度为【ウ】的状态所对应的纯自旋磁矩。一般而言,六配位配合物 不发生姜–泰勒畸变,这与ク:六配位配合物 会发生姜–泰勒畸变形成对照。四配位单核Ni配合物的例子包括具有【エ】价Ni中心的 。将其【オ】可生成 。此外,ケ:改变【オ】的条件,也可得到 。该配合物具有抗磁性,各CN配体均只以 方式与一个Ni原子配位。
钯与镍为同族元素。四配位Pd配合物 可作为溴苯与有机金属试剂交叉偶联反应的催化剂前体。前体中的 配体解离,形成二配位Pd配合物 ,后者为催化活性物种。コ:催化循环的第一步是溴苯向 氧化加成,生成四配位Pd单核配合物。
① 为ア~ウ及オ选择最恰当的词语,为エ填写数字。词语从以下词库中选择,可以重复使用。
【词库】直线、三角锥、三角双锥、四方锥、四面体、八面体、平面三角、平面四方、氧化、还原、中和、升华、单重态、双重态、三重态、四重态、五重态、六重态。
② 关于カ,按照上方示例分别画出两种几何结构中的d轨道分裂,并使用半箭头表示各自基态的电子占据情况。
③ 关于キ,求仅含一种配体的六配位Ni(II)配合物的纯自旋磁矩。将小数点后第3位四舍五入,保留小数点后2位,单位为玻尔磁子 。计算时可使用 、、、。
④ 关于ク,用约2行简要说明六配位配合物 发生姜–泰勒畸变的原因。必须使用“简并”“轨道”两个词语,可以重复使用。
⑤ 关于ケ,画出 的结构,明确表示金属周围的立体化学。
⑥ 关于コ,回答(i)、(ii)。
(i) 分别列出该氧化加成反应中形成及断裂的全部化学键,以“Z–Z键”的形式作答,其中Z为元素符号。若没有相应的化学键,回答“无”。
(ii) 尽管存在已解离的 ,该氧化加成反应仍不生成六配位Pd单核配合物。从中心金属价电子数的角度,用约2行简要说明原因。
(2) 与 按照内球机理,经上图中间体A与中间体B之间的电子转移,生成 与 。回答①、②。
① 分别求 及 中中心金属的形式氧化数。
② 画出中间体B的结构,明确表示金属周围的立体化学,并在结构中元素符号的右上角标明中心金属的形式氧化数。
Kai
(1)
①
ア:平面四角、イ:四面体、ウ:三重項、エ:0、オ:酸化。
②
Ni(II)は 。平面四角形では最も高い を空とし、残る四軌道を二重占有する。四面体では が低く、 が高いので、 となり不対電子が2個残る。
③
八面体 は 、 である。
④
Cu(II)の 配置では、縮重した 軌道が3電子で非対称に占有される。ひずみによって軌道の縮重が解け、低い軌道に2電子、高い軌道に1電子が入ることで全エネルギーが低下する。
⑤
CNの架橋はなく、Ni–Ni単結合で二つの 部分が結ばれる。各NiはNi–Ni結合も含めてほぼ四面体の配位環境となる。Niの平均酸化数は ()で、Ni–Ni結合の形成により不対電子が対をつくる。
⑥
(i)
形成:Pd–C結合、Pd–Br結合。切断:C–Br結合。
(ii)
酸化的付加生成物 はPd(II)、 の16電子錯体であり、平面四角形で安定化する。さらに膦2分子を配位させると20電子となり、高い反結合性軌道への占有が必要になるため、6配位化は不利である。
(2)
①
Co:、Cr:。
②
Clが両金属を架橋したまま、Cr(II)からCo(III)へ1電子が移る。したがって中間体Bは
両金属のまわりは八面体形である。