北海道大学 理学院 物性物理学専攻・宇宙理学専攻 2020年8月実施 問題V
Author
Miyake, 祭音Myyura
Description
題意の要約。出典:大学公開原卷の保存版(PDF 9–10ページ)。各問では結論と導出過程を示す。
1-1. 行列 123356245 の逆行列を計算する。
1-2. y′′−3y=−4sinx の一般解を求める。
1-3. 広義積分 ∫0∞(sinx)/xdx を計算する。
座標軸方向の単位ベクトルを i,j,k、位置ベクトルを r=xi+yj+zk、その長さを r とする。微分可能なスカラー関数 f(r) について、次の恒等式を証明する。
2-1. ∇⋅(f(r)r)=rf′(r)+3f(r)。
2-2. ∇×(f(r)r)=0。
区分的に滑らかな関数の Fourier 級数を
f(x)=2a0+m=1∑∞(amcosmx+bmsinmx)
とし、係数を
am=π1∫−ππf(x)cosmxdx(m≥0),bm=π1∫−ππf(x)sinmxdx(m≥1)
とする。
3-1. 三角関数の加法定理を使って、上記二つの係数公式を導く。
3-2. f(x)=0(−π<x≤0)、f(x)=x(0≤x<π)を Fourier 級数に展開する。
3-3. 3-2 の結果から ∑k=0∞(2k+1)−2=π2/8 を導く。
题目描述
各问均需说明计算或证明过程。
第 1 题:
- 求矩阵 123356245 的逆矩阵。
- 求微分方程 y′′−3y=−4sinx 的通解。
- 计算广义积分 ∫0∞(sinx)/xdx。
第 2 题:令位置向量为 r=(x,y,z),长度为 r。对于只依赖 r 的可微函数 f(r),证明
∇⋅(f(r)r)=rf′(r)+3f(r),∇×(f(r)r)=0.
第 3 题:对分段光滑函数的 Fourier 级数
f(x)=2a0+m=1∑∞(amcosmx+bmsinmx),
- 利用三角函数加法公式推导系数公式
am=π1∫−ππf(x)cosmxdx(m≥0),bm=π1∫−ππf(x)sinmxdx(m≥1).
- 将 f(x)=0(−π<x≤0)、f(x)=x(0≤x<π)展开成 Fourier 级数。
- 利用第 2 问的结果证明 ∑k=0∞(2k+1)−2=π2/8。
Kai
1-1.
掃き出し法により、次のように求められる:
1233562451000100011003−1−320−11−2−301000110001020−1−5233−1−300110001000112−3−3−1320−1
∴ 123356245−1=12−3−3−1320−1
[参考]
千葉逸人「工学部で学ぶ数学」
1-2.
与えられた微分方程式の右辺を 0 とおいた式に
y=eλx ( λ は x によらない定数)
を代入すると λ=±3 を得るので、
この微分方程式の一般解は、積分定数を A,B として、
y=Ae3x+Be−3x
である。
また、与えられた微分方程式に y=Csinx+Dcosx
( C,D は x によらない定数)を代入すると
C=1,D=0 を得るので y=sinx が特殊解であることがわかる。
以上より、与えられた微分方程式の一般解は、積分定数を A,B として、
y=Ae3x+Be−3x+sinx
であることがわかる。
1-3.
ε>0 に対し I(ε)=∫0∞e−εxsinx/xdx とおく。積分内で微分すると、
I′(ε)=−∫0∞e−εxsinxdx=−1+ε21.
I(ε)→0(ε→∞)より I(ε)=arctan(1/ε)。Dirichlet の判定法で元の広義積分は収束する。また、部分積分によって ∫R∞e−εxsinx/xdx≤2/R が ε≥0 で成り立つため、減衰因子を外す極限と広義積分を交換できる。したがって、
∫0∞xsinxdx=ε↓0limI(ε)=2π.
以下の計算は r>0 で行う。原点に式を拡張するには、そこでのベクトル場の微分可能性を確認する。
まず、 r2=x2+y2+z2 より、
∂x∂r=rx, ∂y∂r=ry, ∂z∂r=rz
であり、また、 r の関数 f(r) について
∂x∂f=rxdrdf, ∂y∂f=rydrdf, ∂z∂f=rzdrdf
である。
2-1.
∂x∂(f(r)x)=rx2drdf+f
などが成り立つから、与えられた式が成り立つことがわかる。
2-2.
∂x∂(f(r)y)=rxydrdf
などが成り立つから、与えられた式が成り立つことがわかる。
3-1.
まず、 m=1,2,⋯ について、
∫−ππcosmx dx=0, ∫−ππsinmx dx=0
が成り立つから、与えられたフーリエ級数展開の式の両辺を
x について −π から π まで積分することで
a0=π1∫−ππf(x)dx
がわかる。
次に、 m,n=1,2,⋯ について、
∫−ππcosmxcosnx dx∫−ππsinmxsinnx dx∫−ππsinmxcosnx dx=21∫−ππ[cos(m+n)x+cos(m−n)x]dx=πδm,n=21∫−ππ[−cos(m+n)x+cos(m−n)x]dx=πδm,n=21∫−ππ[sin(m+n)x+sin(m−n)x]dx=0
が成り立つ( δm,n はクロネッカーのデルタ)から、
n=1,2,⋯ について、与えられたフーリエ級数展開の式の両辺に、
cosnx をかけて x について −π から π まで積分することで
an=π1∫−ππf(x)cosnx dx
がわかり、
sinnx をかけて x について −π から π まで積分することで
bn=π1∫−ππf(x)sinnx dx
がわかる。
以上より、題意が示された。
3-2.
まず、
a0=π1∫0πx dx=2π
であり、次に、 m=1,2,⋯ について
ambm=π1∫0πxcosmx dx=mπ1[xsinmx]0π−mπ1∫0πsinmx dx=m2π1[cosmx]0π={−m2π20(m=1,3,⋯)(m=2,4,⋯)=π1∫0πxsinmx dx=−mπ1[xcosmx]0π+mπ1∫0πcosmx dx=m(−1)m+1+m2π1[sinmx]0π=m(−1)m+1
である。
よって、与えられた関数のフーリエ級数展開は、次の通りである:
f(x)=4π−π2k=0∑∞(2k+1)21cos((2k+1)x)+m=1∑∞m(−1)m+1sinmx
3-3.
3-2. で得たフーリエ級数展開の式において x=0 とすると
0=4π−π2(1+321+521+⋯)
となるので、これを整理して題意の式を得る。
1+321+521+⋯=8π2
Fourier 級数と元の関数の等号は −π<x<π で成立する。周期延長した関数は x=±π で跳ぶため、これらの点での級数の和は左右極限の平均 π/2 になる。