北海道大学 情報科学院 情報科学専攻 情報エレクトロニクスコース 2022年8月実施 専門科目2 [2] 量子力学
Author
Miyake
Description
以下の各問において i を虚数単位とする。また、ℏ はプランク定数 h を 2π で割った定数とする。
ハミルトニアンが
H=(ε100ε2)
で与えられている物理系がある。以下の問いに答えよ。
(1) 状態ベクトルを
∣φ(t)⟩=c1(t)(10)+c2(t)(01)
と表したとき、∣φ(t)⟩ が満たすシュレディンガー方程式を考えることにより、
c1(t) と c2(t) が初期値 c1(0)、c2(0) によって
c1(t)=c1(0)exp(−iℏε1t)
c2(t)=c2(0)exp(−iℏε2t)
で与えられることを示せ。
(2) オブザーバブル
σ^=(cos2θsin2θsin2θ−cos2θ)
の固有ベクトルが
∣λ1⟩=(cosθsinθ)
∣λ2⟩=(−sinθcosθ)
であることを示せ。
(3) 状態ベクトルの初期値が
∣φ(0)⟩=∣λ1⟩
であるとき、時刻 t≥0 でオブザーバブル σ^ を測定して結果 λ1 が得られる確率を求めよ。
図1のように、x<0 で V(x)=∞、0≤x で V(x)=v0x
ただし、v0>0 とする、と与えられている1次元ポテンシャル中に質量 m の粒子が閉じ込められている。
以下の問いに答えよ。必要であれば正整数 n について成立する次の公式を用いてよい。
∫0∞xne−sxdx=sn+1n!
(1) 波動関数を
ψ(x)={0,Cxe−αx,−∞<x<0,0≤x<∞
としたとき、規格化定数 C を定めよ。ただし、α>0 であるとする。
(2) (1) の波動関数で表される状態のエネルギーの期待値を求めよ。
Kai
(1)
シュレディンガー方程式
iℏdtd∣φ(t)⟩=H^∣φ(t)⟩に∣φ(t)⟩=c1(t)(10)+c2(t)(01)
を代入すると、
iℏ(dtdc1(t)(10)+dtdc2(t)(01))=ε1c1(t)(10)+ε2c2(t)(01)
となるから、
iℏdtdc1(t)=ε1c1(t), iℏdtdc2(t)=ε2c2(t)
であり、
c1(t)=c1(0)exp(−iℏε1t), c2(t)=c2(0)exp(−iℏε2t)
がわかる。
(2)
まず、
σ^∣λ1⟩=(cos2θcosθ+sin2θsinθsin2θcosθ−cos2θsinθ)=(cosθsinθ)=∣λ1⟩
なので、 ∣λ1⟩ は
σ^ の固有値 1 に属する固有ベクトルである。
また、
σ^∣λ2⟩=(−cos2θsinθ+sin2θcosθ−sin2θsinθ−cos2θcosθ)=(sinθ−cosθ)=−∣λ2⟩
なので、 ∣λ2⟩ は
σ^ の固有値 −1 に属する固有ベクトルである。
(3)
∣φ(0)⟩=∣λ1⟩=cosθ(10)+sinθ(01)
なので、 (1) から、
∣φ(t)⟩=cosθexp(−iℏε1t)(10)+sinθexp(−iℏε2t)(01)
がわかる。
よって、
⟨λ1∣σ^∣φ(t)⟩=⟨λ1∣φ(t)⟩=cos2θexp(−iℏε1t)+sin2θexp(−iℏε2t)
となり、求める確率は、
∣⟨λ1∣σ^∣φ(t)⟩∣2=cos4θ+sin4θ+cos2θsin2θ(exp(iℏ(ε1−ε2)t)+exp(−iℏ(ε1−ε2)t))=1+21sin22θ(cos(ℏ(ε1−ε2)t−1))
である。
(1)
波動関数の規格化条件より、
1=∫−∞∞∣ψ(x)∣2dx=∣C∣2∫0∞x2e−axdx=∣C∣2a32
なので、
C=2a3
とすればよい。
(2)
ポテンシャルエネルギーの期待値は
∫−∞∞ψ(x)∗V(x)ψ(x)dx=∣C∣2v0∫0∞x3e−axdx=2a3v0a43!=a3v0
であり、運動エネルギーの期待値は
∫−∞∞ψ(x)∗(−2mℏ2dx2d2)ψ(x)dx=−2mℏ2∣C∣2∫0∞xe−2ax(−a+4a2x)e−2axdx=−2mℏ2a2a3∫0∞(−x+4ax2)e−axdx=−4mℏ2a4(−a21!+4aa32!)=8mℏ2a2
であるから、エネルギーの期待値は
a3v0+8mℏ2a2
である。